Gallicaの日本資料を翻刻!

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伐(うて)や進(すゝ)めと呼(よば)はり〳〵。勇(いさ)み立(たつ)て追(おひ)進(すゝ)む。賊兵(ぞくへい)は倍(ます〳〵)色(いろ)めき立て崩(くづ)れ退(ひく)にぞ。三 陣(ぢん)の 大伴弟麻呂(おほともおとまろ)大いに勇(いさ)□【み 注】。□(す)【須 注】波(は)軍(いくさ)に勝(かつ)たるぞ。□(この)□【此隊(このて) 注】も進(▢▢)【▢部「すゝ」 注】んで味方(みかた)に力(ちから)を併(あは)し敵(てき)を 鏖(みなごろし)にせよと下知(げぢ)しければ。一万五千 騎(ぎ)の新兵(あらて)の京勢(きやうぜい)大浪(おほなみ)の如(ごと)く喊(とき)を発(つくつ)て馳行(はせゆき) けるに忽(たちま)ち森(もり)の裡(うち)より一発(いつぱつ)の狼煙(らうゑん)を揚(あぐ)ると比(ひと)しく此所(こゝ)彼所(かしこ)の森林(しんりん)藪蔭(やぶかげ)より 賊方(ぞくがた)の伏兵(ふくへい)起(おこ)り立(たち)。凡(およそ)一万四五千 騎(ぎ)弟麻呂(おとまろ)が勢(せい)を前後(ぜんご)左右(さいう)より取囲(とりかこ)み矢(や)を射(い) かけ喊(とき)を発(つくつ)て揉立(もみたて)ける。京軍(きやうぐん)是(これ)に一 驚(きやう)を喫(きつ)しながら大軍(たいぐん)といひ新兵(あらて)なれば。勢(せい)を 分(わけ)て相(あひ)当(あた)り火(ひ)水(みづ)に成(なつ)て挑(いど)み戦(たゝか)ひけり。此時(このとき)迄(まで)は逃足(にげあし)なりし大熊丸(おほくまゝる)高丸(たかまる)が勢(せい)忽(たちま)ち 足並(あしなみ)を整(なを)し盛返(もりかへ)して攻進(せめすゝ)み曳々(ゑい〳〵)声(ごゑ)して打立(うちたつ)るにぞ。京軍(きやうぐん)案(あん)に相違(さうい)しながら 三 将(せう)三 方(はう)に分(わか)れて下知(げち)をなし。爰(こゝ)を大事(だいじ)と摂戦(せつせん)するところに俄然(がぜん)として悪風(あくふう)吹起(ふきおこ) りて土砂(どしや)を吹立(ふきたつ)るや否(いな)や朦朧(もうろう)【𪱨は俗字】と霧(きり)降(ふり)出(いだ)し。見る〳〵四方(しはう)冥々(めい〳〵)として咫尺(しせき)の間(あいだ)も 見えわかずなりければ。京軍(きやうぐん)大いに駭(おどろ)き敵味方(てきみかた)を弁(べん)ずる事を得(え)ず。周障(あはて)騒(さは)ぎ 【注 紙面の破損。法政大学 国際日本学研究所所蔵資料アーカイブス(筆記体本)を参照す。】