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将(せう)の下(した)に弱卒(じやくそつ)無(なき)ならひ従(したが)ふ五百 騎(き)の兵士(へいし)も主将(しゆせう)の勇鋭(ゆうゑい)に励(はげ)まされ素(もとよ)り新(あら)
兵(て)の事なれば太刀(たち)鋒尖(さきするど)く敵(てき)を切立(きりたて)分外(ぶんぐわい)の勇戦(ゆうせん)しけるにより。さしも多勢(たせい)の賊(ぞく)
軍(ぐん)も田村丸(たむらまる)が一隊(いつて)の小勢(こぜい)に捲(まく)り立(たて)られ足並(あしなみ)支度路(しどろ)に乱(みだ)れ立(たち)けり。是(これ)によつて
始(はじ)め敗色(まけいろ)を見せたる俊哲(しゆんてつ)。真鷲(まわし)。弟麻呂(おとまろ)が勢(せい)も。色(いろ)を整(なを)し鋭気(ゑいき)を復(かへ)して
敵(てき)を追立(おつたつ)るにぞ。賊軍(ぞくぐん)いよ〳〵しらけ反(かへつ)て見えにける。賊将(ぞくせう)大熊丸(おほぐままる)は鹿角(しかのつの)をも引(ひき)
裂(さく)怪力(くわいりよく)強勢(がうせい)の曲者(くせもの)なれば。田村丸(たむらまる)のために切靡(きりなび)けられしと憤(いきどふ)り。悪(にく)き京将(きやうせう)の腕立(うでだて)
かな。いで我(われ)討留(うちとめ)て味方(みかた)の弱卒(じやくそつ)們(ばら)の眠(ねむり)を覚(さま)させんと。馬上(ばしやう)に甲(よろひ)をゆり整(なを)し一 丈余(じやうよ)
の大鉞(おほまさかり)【金+越は俗字】を軽(かる)〱(〴〵)と打揮(うちふり)。田村丸(たむらまる)を目(め)ざして駈寄(かけより)ければ。田村丸 完示(くわんじ)として。先剋(せんこく)よ
り手(て)に立(たつ)敵(かたき)なくて腕(うで)たるく思(おも)ひしに。望(のぞ)むところの敵(てき)よと同(おなじ)く馬(むま)を駈(かけ)よせて已(すで)に
両馬(りようば)行合(ゆきあふ)程(ほど)に大 熊(ぐま)丸 一言(いちごん)の言闘(ことばだゝかひ)にも及(およば)ず大 鉞(まさかり)【金+越は俗字】を揚(あげ)て撃(うつ)てかゝる。田村丸(たむらまる)も大(おほ)
太刀(だち)を插(かざ)し一 往(わう)一 来(らい)して戦(たゝか)ふ事十 余(よ)合(がふ)に及(およ)び。大 熊(ぐま)丸が磐石(ばんじやく)も碓(くだけ)よと打下(うちくだ)す鉞(まさかり)を