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同意(どうい)し。翌日(よくじつ)斥候(ものみ)【侯は誤記】を出(いだ)して敵(てき)の動静(どうせい)を窺(うか[ゞ])はしむるに。賊将(ぞくせう)高丸(たかまる)。悪路王(あくろわう)昨日(きのふ)の軍(いくさ)
に多(おほ)く士卒(しそつ)を折(くじ)かれ残党(ざんとう)を駆(かり)集(あつめ)神楽岡(かぐらおか)の東(ひがし)なる大川(だいが)に大船(たいせん)を浮(う[か])べてとり乗(のり)
夷賊(いぞく)を招(まね)き聚(あつめ)て後(のち)再(ふたゝ)び一 戦(せん)に及(およば)んと。専(もつは)ら士卒(しそつ)を駆(かり)募(つの)るよし回(かへ)り報(ほふ)じけるゆへ
さらば敵(てき)に勢(せい)の付(つか)ざる内(うち)に伐平(うちたいらげ)んと。弟麻呂(おとまろ)は一昨日(おとゝひ)の合戦(かつせん)に金瘡(てきず)を受(うけ)て進退(しんたい)
意(こゝろ)に任(まか)せざれば出陣(しゆつぢん)を止(とゞ)まり田村丸 仮(かり)に征東使(せいとうし)となり。真鷲(まわし)。俊哲(しゆんてつ)とともに
二万五千 余騎(よき)を引率(いんぞつ)して神楽岡(かぐらおか)へぞ出張(しゆつてう)しける。去程(さるほど)に夷賊(いぞく)は初度(しよど)の軍(いくさ)に京(きやう)
軍(ぐん)を多(おほ)く討取(うちとり)けれども。又 田村丸(たむらまる)の為(ため)に多(おほ)く手勢(てぜい)を折(くじ)かれ離散(りさん)せし者(もの)も多(おほ)く
剰(あまつさ)へ大 熊丸(ぐままる)さへ討(うた)れければ上下(じやうげ)皆(みな)田村丸の武勇(ぶゆう)を恐(おそ)れけるに。京軍(きやうくん)多勢(たせい)にて
攻来(せめきた)るよし追々(おひ〳〵)聞(きこ)えければ。船中(せんちう)の賊兵(ぞくへい)大いに戦慄(ふるひわなゝ)き恐怖(きやうふ)の色(いろ)を表(あらは)しけるを。高(たか)
丸(まる)悪路王(あくろわう)是(これ)を制(せい)し。田村丸(たむらまる)一人 勇(ゆう)なりとも何(なん)ぞ怖(おそる)るに足(たる)べき。我(われ)妙術(めうじゆつ)を【注】施(ほどこ)して
敵(てき)を拉(とりひし)がん事 方寸(はうすん)の内(うち)にあり敵(てき)に神楽岡(かぐらおか)を超(こえ)させては悪(あし)かりなん。早(はや)く味方(みかた)神(かく)
【注 別本を参照す。】