Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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味方(みかた)を制(せい)して敵(てき)を防(ふせ)がんと声(こゑ)を涸(から)して下知(げぢ)すれども崩(くづ)れ立(たつ)たる勢(せい)のならひ耳(みゝ)に 聞入(きゝいれ)る者(もの)もなく梺(ふもと)の高丸(たかまる)の陣(ぢん)をさして敗(にげ)下(くだ)りけるゆへ。悪路王(あくろわう)も力なくともに敗(にげ)往(ゆく) 味方(みかた)に誘(さそ)はれ同(おな)じく高丸が陣(ぢん)へぞ落(おち)行(ゆき)ける。高丸の陣(ぢん)には山上(さんぜう)の大光(ひのて)と鯨波(ときのこゑ)に驚(おどろ) き。是(こ)は何事(なにごと)の起(おこり)しやとて。追々(おひ〳〵)斥候(ものみ)【侯は誤記】を出(いだ)すうち。早(はや)山上より逃(にげ)下(くだり)し賊兵(ぞくへい)高丸(たかまる)の 陣(ぢん)へなだれかゝるにぞ。梺(ふもと)の賊軍(ぞくぐん)も周章(あはて)騒(さは)ぎ京軍(きやうぐん)の夜討(ようち)に寄(よせ)しと心得(こゝろえ)同士(どし) 討(うち)して悶着(もんちやく)しけり。田村丸(たむらまる)は諸軍(しよぐん)を励(はげま)し。此(この)勢(いきほ)ひを弛(ゆるべ)ず梺(ふもと)の敵(てき)を伐散(うちちら)せよと 下知(げぢ)せらるゝにより。勝誇(かちほこつ)たる宦軍(くわんぐん)破竹(はちく)の勢(いきほ)ひをなし。十九 夜(や)の月(つき)は冴(さへ)たり。喚(おめ)き 叫(さけ)んで太山(たいさん)の崩(くづ)るゝ如(ごと)く坂(さか)を落(おと)し。高丸(たかまる)が陣(ぢん)へ伐(うつ)てかゝる。さなきだに騒(さはぎ)乱(みだれ)し賊(ぞく) 兵(へい)此(この)強勢(がうせい)に恐怖(きやうふ)し一 合(がふ)も支(さゝ)へず川辺(かはべ)の方(かた)へ敗走(はいそう)すさしもの悪路王(あくろわう)も心 騒(さはぎ)て 幻術(げんじゆつ)を行(おこな)ふ遑(いとま)もなく馬(むま)を拍(うつ)て敗(にげ)落(おちる)。高丸は宦軍(くわんぐん)に取囲(とりかこ)まれ已(すで)に討(うた)るべかりし に。部下(てした)の士卒(しそつ)大 勢(ぜい)引返(ひつかへ)し。よふ〳〵血路(けつろ)を切開(きりひら)きて救(すく)ひ出(いだ)しけるに依(より)。万死(ばんし)を