Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

- 翻刻

 - ページ 146

ページ: 146

翻刻

免(まぬか)れ是(これ)も味方(みかた)の船陣(ふなぢん)さして敗走(にげはしり)けり。主領(しゆれう)の二人さへ如斯(かくのことく)なれば。其余(そのよ)の敗(はい) 卒(そつ)們(ら)は八 方(はう)へ散乱(さんらん)し己(おの)がさま〴〵落行(おちゆく)を。宦軍(くわんぐん)是(これ)を追討(おひうち)し或(あるひ)は生捕(いけどり)《振り仮名:各〱|おの〳〵》 分外(ぶんぐわい)の高名(かうみやう)を顕(あらは)しける。田村丸(たむらまる)は地理(ちのり)を不知(しらぬ)敵地(てきち)を長追(ながおひ)せば過(あやま)ちあらん と。退鉦(ひきがね)を鳴(なら)して勢(せい)を班(まと)め。大いに凱歌(かちどき)を発(つくつ)て軍威(ぐんい)を示(しめ)し。其夜(そのよ)は山下(さんか)に 陣(ぢん)をとり軍馬(ぐんば)の疲労(つかれ)を休(やす)め。討取(うちとり)し首(くび)を点撿(てんけん)せしむるに。首(くび)八百五十 余級(よきう) 生捕(いけどり)二百七十余人とぞ記(しる)しける。去程に賊主(ぞくしゆ)高丸(たかまる)悪路王(あくろわう)は神楽岡(かぐらおか)の一 戦(せん)に 大いに兵を折(くじ)き。今(いま)は勢(いきほ)ひ極(きはま)り宦軍(くわんぐん)に拒敵(てきたい)せん事も叶(かな)はざれば高丸(たかまる)大いに力(ちから)を 屈(くつ)し。悪路王(あくろわう)大墓(おほはか)盤具(ばんぐ)們(ら)と議(ぎ)しけるは。敵将(てきせう)田村丸(たむらまる)勇(ゆう)にして且(かつ)能(よく)兵(へい)を用(もち)ひ 奇計(きけい)を以(もつ)て大いに味方(みかた)の兵士(へいし)を折(くじ)けり。されば一 旦(たん)敵(てき)の鋭気(ゑいき)を避(さけ)て蝦夷地(ゑぞち)へ退(しりぞ) き。島人(しまびと)を駆聚(かりあつ)め。京軍(きやうぐん)都(みやこ)へ凱陣(かいぢん)せし後(のち)再(ふたゝ)び此国(このくに)へ乱入(らんにふ)して一 国(こく)を伐取(きりとら)んは 如何(いかに)と言(いひ)けるに悪路王(あくろわう)首(かうべ)を揮(ふり)。否々(いな〳〵)勝敗(せうばい)は兵家(へいか)の常(つね)なり。一 両度(りようど)の敗軍(はいぐん)に