Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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ページ: 165

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罪囚(つみんど)牢獄(ろうこく)を出(いだ)し赦(ゆる)され悦(よろこ)ぶ事大 方(かた)ならず。皆(みな)帝(みかど)の御仁徳(ごじんとく)を称(せう)し先非(せんひ)を 改(あらた)め正路(しやうろ)に皈(かへ)りける。故(かるがゆへ)に御世(みよ)益(ます〳〵)泰平(たいへい)にて万民(ばんみん)業(ぎやう)を楽(たのし)み。日月(しつげつ)相(あひ)照(てら)し五穀(ごゝく)豊(ほう) 熟しけり。斯て年月(ねんげつ)推移(おしうつ)り。延暦(えんりやく)二十四年の春(はる)となりけるに。二月の比(ころ)より帝(みかど)御(ご) 不例(ふれい)にわたらせ給ひければ。諸卿(しよけう)百宦(ひやくくわん)大いに心(むね)を痛(いた)め。和気(わけ)丹波(たんば)の医宦(いくわん)に命(めい)じて良(りよう) 方(はう)を撰ませて霊薬(れいやく)を献(たてまつ)らしめ。神社(しんじや)へは奉幣使(はうへいし)を立(たて)仏院(ぶついん)には御悩(ごのふ)平愈(へいゆ)の大法(だいほふ) 秘方(ひはう)を修(しゆ)せしめられける。然(しかる)に陰陽(おんやう)の博士(はかせ)勘文(かんもん)を上(たてまつ)り。今度(こんど)の御悩(ごのふ)は死霊(しれう)の為(なす) ところにて候と奏(そう)しけるにぞ。諸卿(しよけう)商議(しやうぎ)ありて。偖(さて)は尚(なを)早良(さうら)太(たい)子の怨霊(おんれう)の祟(たゝ)【崇は誤記】り なるべし。其(その)憤霊(ふんれい)を鎮(しづめ)んと区々(まち〳〵)に議(ぎ)せられけるを。帝(みかど)聞(きこし)食(めし)て大臣(だいじん)を召(めさ)れて宣(のたま) ひけるは。朕(ちん)が今般(このたひ)の違例(ゐれい)を早良(さうら)太子(たいし)の怨霊(おんれう)の祟(たゝり)【崇は誤記】なりと議(ぎ)するよし。是(これ)以(もつて)の 外(ほか)の僻事(ひがこと)なり。彼(かの)太子(たいし)の憤霊(ふんれい)は。已(すで)に先年(せんねん)一 社(しや)の神(かみ)に鎮(しづめ)祭(まつ)り。其(その)霊(れい)を宥(な)めてより 以来(このかた)絶(たへ)て祟(たゝり)【崇は誤記】をなさず。然(しかる)に年月(ねんげつ)久(ひさ)しく立(たつ)て。今また朕(ちん)に祟(たゝり)【崇は誤記】をなす謂(いはれ)あらんや。由(よし)