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平城天皇(へいぜいてんわう)御即位(ごそくゐ)《割書:并(ならびに)》譲位(じやうゐ) 嵯峨天皇(さがてんわう)受禅(じゆぜん)南都(なんと)擾乱(じやうらん)
人皇(にんわう)五十一代 平城天皇(へいぜいてんわう)と申奉るは。桓武天皇(くわんむてんわう)第(だい)一の皇子(みこ)にて。御 諱(いみな)は日本根子天(やまとねこあめ)
排国高彦尊(ひらけくにたかひこのみこと)又の御 名(な)は安殿(やすどの)親王(しんわう)御 母(はゝ)は藤原乙牟漏(ふぢはらのをとむろ)と申奉り。藤原(ふぢはら)の冬(ふゆ)
継(つぐ)公(こう)の御 女(むすめ)なり。御 即位(そくゐ)の大礼(たいれい)を行(おこな)はれ延暦(えんりやく)二十五年を改(あらた)め大同(だいどう)元年(ぐわんねん)と暦号(れきかう)
を改元(かいけん)あり御 弟宮(おとゝみや)神野(かうのゝ)親王(しんわう)を春宮(とうぐう)に立(たて)給ひ。御 外祖(ぐわいそ)内大臣(ないだいじん)藤原冬継(ふちはらのふゆつぐ)公(こう)に
正(しやう)一 位(ゐ)太政大臣(だじやうだいじん)を贈(おく)り給ひけり。此(この)帝(みかど)は天性(てんせい)儒学(じゆがく)を好(このま)せ給ひ。又 詩文(しぶん)に長(てう)じ給へば
御 践祚(せんそ)の始(はじめ)より大学寮(だいかくれう)を儲(まうけ)て諸(しよ)皇子(わうじ)及(およ)ひ五位(ごゐ)以上(いじやう)の子息(しそく)十才に成(なり)ぬれば
学校(がくかう)へ入(いら)せ経学(けいがく)させ給ひ。又 有司(ゆうし)に詔命(みことのり)を下して宣(のたまは)く。今 世上(せぜう)に妖僧(ようそう)奸巫(かんふ)の徒(ともがら)
多(おほ)くして。神託(しんたく)占文(せんもん)に托(たく)して妄(みだり)に福(ふく)を説(とき)禍(くわ)を唱(とな)へ。愚昧(ぐまい)の庶民(しよみん)婦女(ふぢよ)の徒(ともがら)を
惑(まとは)し財帛(ざいはく)を貪(むさぼ)り取(とる)。故(かるがゆへ)に愚不肖(ぐふせう)の者 妖僧(ようそう)奸巫(かんふ)の言(ことば)を信(しん)じて国風(こくふう)を損(そん)じ正道(しやうどう)
を不知(しらず)甚(はなは)だ以(もつ)て然(しかる)べからず自今(いまより)以後(のち)妖僧(ようそう)奸巫(かんふ)の徒(ともがら)を堅(かた)く禁(きん)ずべしと命(めい)じ