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給ふ。また六道(ろくどう)の諸国(しよこく)に観察使(くわんさつし)を定(さた)め給ひ。守護(しゆご)国司(こくし)諸官吏(しよぐにん)の私曲(しきよく)悪政(あくせい)を緊(きびし)
く誡(いまし)めさせ玉ひけり。先(まつ)東海道(とうかいどう)は参議(さんぎ)従(しふ)三 位(み)藤原葛野丸(ふぢはらのかどのまろ)西海道(さいかいどう)は参議(さんぎ)従(じふ)
三 位(み)藤原綱主(ふぢはらのつなぬし)。山陰道(さんいんどう)は参議(さんぎ)従四位(しふしゐ)藤原緒継(ふちはらのをつぐ)。山陽道(さんやうどう)は参議(さんぎ)正四位下(しやうしゐのげ)皇(かう)
大弟傅(たいていのふ)藤原園人(ふぢはらのそのんど)。北陸道(ほくろくどう)は従(じふ)四 位下(ゐのげ)杉篠安人(すぎしのゝやすんど)南海道(なんかいどう)は従(じふ)四 位下(ゐのげ)吉備朝(きびのあ)
臣泉(そみいづみ)等(とう)なり。如此(かくのごとく)万機(ばんき)の政道(まつりごと)正(たゞ)しく三 綱(かう)五 常(じやう)の道(みち)を推弘(おしひろ)め給へば万民(ばんみん)悦伏(ゑつふく)し
て四海(しかい)波(なみ)静(しづか)にいと昌平(しやうへい)の御代(みよ)なりけるに。忽(たちま)ち不時(ふし)の珍事(ちんじ)出来(しゆつらい)しけり。其故(そのゆへ)を探(さぐ)
り聞(きく)に。帝(みかど)の御 弟(おとゝ)伊予親王(いよのしんわう)と申は。先帝(せんてい)《割書:桓|武》の第(だい)四の宮(みや)にて父(ちゝ)帝(みかど)殊更(ことさら)御 寵愛(てうあい)の
宮なれば。其(その)御威光(ごいくわう)皇太子(くわうたいし)にもおさ〳〵劣り玉はず。諸人(しよにん)尊敬(そんけう)して常(つね)に諸方(しよはう)の
使者(ししや)門前(もんぜん)に市(いち)をなし。目出度(めでたく)富栄(とみさかへ)給ひけるに。先帝(せんてい)崩御(ほうぎよ)なし給ひし後(のち)は日々(ひゞ)に御
威勢(いせい)衰(おとろ)へ伺候(しかう)する公卿(くげう)も次第(しだい)に減(げん)し万事(よろづ)寂寥(ものさびし)く成行(なりゆき)けるにぞ。伊予親王(いよのしんわう)
御心(みこゝろ)快々(こゝろ〳〵)として楽(たのし)み玉はず。諸事(しよじ)衰微(すいひ)するに就(つけ)て往日(そのかみ)の威勢(いせい)隆(さか)んなりし事を