Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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宮(ぐう)の御心(みこゝろ)に従(したがひ)操(みさを)を汚(けが)しはべるべき。されば只(たゞ)難面(つれなく)聞捨(きゝすて)侍(はべり)しゆへ春宮(とうぐう)深(ふか)く妾(わらは) を恨(うら)み悪(にく)み給へりと承(うけたま)はれり。此比(このごろ)此御所(このごしよ)より御 賄(まかな)ひの事を京都(きやうと)へ申 遣(つか)はせど も十が一なしでは贈(おく)り給はず。皆(みな)是(これ)妾(わらは)を憎(にくみ)給ふゆへにてはべるべし。願(ねがは)くは君(きみ)再(ふたゝ)び 御位(みくらゐ)に復(かへり)給ひて此地(このち)を旧(もと)のごとく都(みやこ)とし。万機(ばんき)の政事(まつりごと)を行(おこな)ひ給へかし。然(しから)ば何(いか)なる御(ぎよ) 遊(ゆふ)も御意(みこゝろ)に任(まか)せはべるべし。此事(このこと)もし睿慮(ゑいりよ)に任(まか)せ玉はずば。兄(あに)仲成(なかなり)に宣旨(せんじ)を給(たま) はりて近国(きんごく)の武士(ぶし)をかたらはせ給ひ。京都(きやうと)を攻(せめ)て帝(みかど)を廃(はい)し給へと時々(より〳〵)に勧(すゝ)め奉 りければ。上皇(じやうかう)は薬子(くすりこ)の愛(あい)に溺(おぼ)れ給へば。其(その)蜜言(みつげん)に御意(みこゝろ)蕩(とろ)け。遂(つひ)に重祚(ちやうそ)の 御心(みこゝろ)生(せう)じ数通(すつう)の院宣(いんぜん)を遊(あそば)し仲成(なかなり)に給はり。近国(きんごく)の武士(ぶし)をかたらはせ給ひけり。噫(あゝ)悲(かなし) いかなさしもの明君(めいくん)も蛾眉(がび)佞奸(かんねい)【侫は譌字】の巧言(かうげん)に迷(まよ)ひ給ひ前車(ぜんしや)の覆(くつがへ)りし誡(いましめ)を打忘(うちわす)れ 給ふぞ薄情(うたて)かりき。仲成(なかなり)は君(きみ)の密詔(みつぜう)を奉(うけたま)はりて大いに悦び。須波(すは)青雲(しゆつせ)の期(とき)来(きた)れり 上皇(じやうかう)重祚(ちようそ)し玉はゞ。妹(いもと)薬子(くすりこ)は女御(にようご)となり我(われ)は摂政(せつしやう)の極宦(ごくくわん)に登(のぼ)り。数多(あまた)の国(くに)を