Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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ページ: 182

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たりけり。主(しゆう)を討(うた)れて郎党(らうどう)等(ら)は皆(みな)散々(ちり〴〵)に落失(おちうせ)ければ田村丸(たむらまる)は仲成(なかなり)が屍(しがい)を馬(むま) に結付(ゆはひつけ)て曳(ひか)せ仙洞御所(せんとうごしよ)へぞ引返(ひつかへ)しける。且(かつ)また上皇(じやうこう)は和州(わすう)添上郡(そへかみこほり)まで到(いたり)給ふ所(ところ) に前路(ゆくさき)には右近衛(うこんゑ)住吉豊継(すみよしとよつぐ)一 軍(ぐん)を屯(たむろ)して道(みち)を遮(さへぎ)り塞(ふさ)ぎけれは進(すゝ)み給ふ事 能(あたは)ず笠置(かさぎ)の方(かた)にも敵(てき)有(あり)と聞(きこ)え。其余(そのほか)四方(しはう)の出口(でくち)悉(こと〴〵)く敵軍(てきぐん)固(かた)めたるよしなれ ば。力(ちから)なく又すご〳〵と平城(なら)へ環(かへ)らせ給ふに已(すで)に京軍(きやうぐん)充満(じうまん)し諸卿(しよきやう)諸宦人(しよくわんにん)みな 虜(とりこ)にせられし由聞えけるにより。上皇(じやうかう)途方(とはう)に昏(くれ)給ひけるを。田村丸(たむらまる)輿(こし)を以(もつ)て迎(むか)へ 奉り。薬子(くすりこ)と倶(とも)に常(つね)の御殿(おまし)へ押籠(おしこめ)まいらせ番兵(ばんへい)に四方を衛護(まもら)せ。隠謀(いんばう)の 余党(よとふ)を緊(きびし)く尋(たづね)捜(さが)しける。上皇(じやうかう)は今更(いまさら)御 後悔(こうくわい)在(ましま)し陳謝(いひわけ)し給ふべき御 詞(ことば)も おはしまさねば。俄(にはか)に御髪(みぐし)を剃払(そりはら)はせ給ひ御 出家(しゆつけ)の体(てい)にならせ給ふぞ御 厭(いた) はしかりける。奸婦(かんふ)薬子(くすりこ)は此御有さまを見て我身(わがみ)の罪科(ざいくわ)免(のが)れがたき事を 察し遂(つひ)に自(みづか)ら刃(やいば)に串(つらぬ)かれて死(し)したりける天罸(てんばつ)の程(ほど)ぞ浅猿(あさまし)き。斯(かく)て田村丸(たむらまる)綿丸(わたまる)