← 前のページ
ページ 185 / 521
次のページ →
翻刻
ける帝(みかど)も竜(りょう)【龍】顔(がん)麗(うるはし)くとり寄(よせ)て御 覧(らん)あるに其(その)御 詩(し)に曰
春日山荘(しゆんじつの)山荘(さんそう)
寂々(せき〳〵たる)幽荘(ゆうそう)《振り仮名:迷_二樹裏_一|じゆりにまよふ》 仙輿(せんよ)一降(ひとたびくだる)一池塘(いつちとう)
棲林孤鳥(そうりんのこてう)《振り仮名:識_二春沢_一|しゆんたくをしり》 隠澗寒花(いんかんのかんくわ)《振り仮名:見_二日光_一|ひのひかりをみる》
泉声近(せんせいちかく)報(ほうじて)新雷(しんらい)響(ひゞき) 山色(さんしよく)高晴(たかくはれて)旧雨(きうう)行(ゆく)
《振り仮名:従_レ此|これより》更知(さらにしる)恩顧渥(おんこのあつきことを) 生涯(しやうがい)何以(なにをもつて)《振り仮名:答_二穹蒼_一|きうさうにこたへん》
時(とき)に有智子(うちし)公主(こうしゆ)十七才にぞおはしける。帝(みかど)再三(さいさん)吟(ぎん)じ給ひて甚(はな)はだ御 賞美(せうび)なし
給ひ御感(ぎよかん)のあまり宸翰(しんかん)を渾(ふるひ)給ひ懐(おもひ)を書(しよ)して公主(こうしゆ)に給(たま)ふ其(その)御製(ぎよせい)に曰
恭(うや〳〵しく)《振り仮名:以_二文章_一著_二国家_一|ぶんしやうをもつてこくかにあらはす》 《振り仮名:莫_下将_二栄楽_一負_上_二煙霞_一|ゑいらくをもつてゑんかをおふことなかれ》
即今(そくこん)永(ながく)抱(いだく)幽貞意(ゆうていのい) 《振り仮名:無_レ事終須_レ遺_二歳華_一|ことなうしてつひにすべからくせいくわをおくるべし》【「べし」は「華」の左に傍記】
此日(このひ)公主(こうしゆ)に三 位(み)の位(くらゐ)を授(さづけ)給ひ百戸(ひやくこ)の采地(さいち)を進(まいら)せ給ひけり。其後(そのゝち)天 長(てう)十年に一 位(ゐ)