Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

- 翻刻

 - ページ 200

ページ: 200

翻刻

に連(つらな)るやうになり。和韻(わいん)贈答(ぞうとふ)などして楽(たのし)み。凡(およそ)普賢菴(ふげんあん)に勤仕(きんし)する事一年 余(あまり)に 及(およ)び寺中(ぢちう)の和尚(おせう)にも皆(みな)面(おもて)を知(しら)れ。何(いづ)れの房(ばう)へも親(した)しく立入(たちいり)しけるが。一時(あるとき)住侶(ぢうりよ)清(せい) 真(しん)は檀越(だんおつ)の仏事(ぶつじ)に招(まね)かれて留守(るす)なりければ。玄吾(げんご)徒然(とぜん)なる儘(まゝ)【侭は略字】同(おな)し寺中(じちう)の文珠(もんじゆ) 菴(あん)の住侶(ぢうりよ)を為空(ゐくう)と呼(よび)て常(つね)に玄吾(げんご)を招(まね)き囲碁(ゐご)の対手(あひて)としけるゆへ為空(ゐくう)を訪(とむら) はんと文珠菴(もんじゆあん)へいたりけるに。是(これ)も他出(たしゆつ)せしにや。厨所(だいどころ)には小僧(こぞう)両人(りようにん)机(つくへ)に倚(もたれ)て睡(ねむ)り居(ゐ) るのみにて音(おと)なへども答(ことふ)る人もなし。偖(さて)は為空(ゐくう)和尚(おせう)も留守(るす)にやと望(のぞみ)を失(うしな)ひながら いまだ当院(とういん)の泉載(せんざい)を一見(いつけん)せざれば。幸(さいはひ)の折(をり)からなり子細(しさい)に見ばやと。思(おも)ひ露路(ろぢ)より 後園(こうゑん)にいたりて見るに泉水(せんすい)築山(つきやま)樹木(じゆもく)の植(うえ)ざまいと面白(おもしろ)く覚(おぼ)へ興(けう)に乗(ぜう)じて橋(はし)を わたり山に登(のぼ)り。渓(たに)へ下(くだ)り流(ながれ)を歩(あゆ)み。いつしか奥(おく)深(ふか)く行(ゆき)けるに。樹林(じゆりん)の裡(うち)に楼(たかどの)見へ て隠然(かすか)に双六(すごろく)の筒(つゝ)を揮(ふる)音(おと)聞(きこ)えければ。偖(さて)は為空(ゐくう)和尚(おせう)は遊客(ゆふかく)など有(あつ)て彼(かの)楼(ろう) にて双六(すごろく)を打楽(うちたのし)まるゝにこそ。羨(うらやま)しき竟界(けうがい)かなと独言(ひとりごち)茂林(もりん)の裡(うち)へ行(ゆき)て見るに