Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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ページ: 202

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御 身(み)方(がた)は何国(いづく)の人にて。かゝる寺院(じいん)の梵妻(かくしづま)となり給ふにやと問(とふ)に。女 答(こたへ)て。妾(わらは)は近江(あふみ)なる 堅田村(かたゝむら)に住(すむ)藤島兵太(ふぢしまのひやうだ)と呼(よば)るゝ者の女(むすめ)松(まつ)が枝(え)といふ者にて。去々年(おとどし)より此都(このみやこ)へ奉公(はうこう)に 出(いで)或(ある)公家衆(くげしゆ)の館(やかた)【舘は俗字】に奉公(みやづかへ)して侍(はべり)しに。此寺(このてら)の住僧(ぢうそう)に瞞(あざむ)【𥈞は略字】かれて此(この)楼(にかい)へ押籠(おしこめ)【篭は略字】られ候也 又 是(これ)なるは都(みやこ)の街(まち)の絹(きぬ)賈(あきびと)の妻(つま)にておはするを覚浄(かくじやう)といふ僧(そう)勾引(かどはかし)て此所(こゝ)へ連来(つれきた)り 一寸も此楼(このろう)を下(くだ)る事を許(ゆる)さず。強(しい)て逼(せま)り辱(はづか)しめ。辞(いな)といへば縊(くび)り殺(ころ)さんと詈(のゝし)るが 恐(おそ)ろしさに為方(せんかた)なくて剣(つるぎ)の中に住(すみ)はべるなり。先頃(さいつころ)此寺(このてら)へ立入(たちいり)する人 過(あやまつ)て此楼(このろふ)へ 登(のぼ)りしを住僧(ぢうそう)見付(みつけ)。三 僧(そう)よりて縊殺(くびりころ)し後(うしろ)の山へ埋(うづみ)隠(かく)しはべりし。其(それ)を目前(まのあたり)に見し 妾(わらは)們(ら)が恐(おそ)ろしさ悲(かな)しさは何(いか)ばかりならん推量(おしはかり)給へ。御 身(み)もまたさる無慚(むざん)なる事(わざ)に 遇(あひ)玉はぬうちに疾(はや)く遁(のが)れ去(さり)給へと涙(なみだ)ながらに語(かたり)ける。玄吾(げんご)は聞(きく)毎(ごと)に駭然(がいぜん)としながら 曰(いはく)。偖(さて)も不測(ふしぎ)の事も候かな。我(われ)素(もと)は加賀国(かがのくに)の者に候が有着(ありつき)を求(もとめ)んため。国(くに)を立(たつ)て都(みやこ) へ上(のぼ)る途中(とちう)。近江路(あふみぢ)にて盗賊(とうぞく)のために衣服(いふく)路銀(ろぎん)を奪(はれ)はれ為方(せんかた)なさに湖水(みづうみ)へ身(み)