Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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ページ: 211

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日(ひ)の暮(くれ)るまでは二人の女を後(うしろ)の山 深(ふか)く身(み)を隠(かく)させ。女の調度(てどうぐ)遊戯(ゆふげ)の諸器(うつわども)はこと〴〵く 後園(こうゑん)の井中(ゐど)へ沈(しづ)め隠(かく)しなどしつゝ。狼狽(うろたへ)騒(さは)ぎて。手(て)の舞(まひ)足(あし)の踏(ふみ)を知(しら)ず。己々(おのれ〳〵) は貪(むさぼ)り貯(たくは)へし金銀(きん〴〵)を肌(はだ)に着(つけ)専(もつは)ら落支度(おちじたく)をぞとり急(いそ)ぎける。是(これ)より以前(いぜん)に浅山(あさやま) 玄吾(げんご)は左右(とかく)してよふ〳〵楞厳隠(れうごんいん)の山を超(こえ)て身(み)を遁(のが)れ。年来(としごろ)懇意(こんい)の学友(がくゆうの)許(もと)へゆき 楞厳院(れうごんいん)の寺僧(じそう)が奸悪(かんあく)の条(くだり)を逐(ちく)一に告(つげ)ければ。聞(きく)者(もの)皆(みな)歯(は)を切(くひしばつ)て悪(にく)み憤(いきどふ)らざるは なし。依(よつ)て玄吾(げんご)は学友(がくゆう)と倶(とも)に訴状(そうぜう)を書記(したゝめ)て有司(ゆうし)の庁(てう)へ訴(うつた)へけるにより。即(すなは)ち玄吾(げんご)に巨(こ) 細(さい)を聞(きゝ)糺(たゞ)し。寺僧(じそう)の悪行事(あくげうこと)明白(めいはく)なれば。追捕(とりて)の宦吏(やくにん)数(す)十人をさし遣(つかは)されける。去(さる) 程(ほど)に宦吏(やくにん)の面(めん)〱(〳〵)楞厳院(れうごんいん)へ馳(はせ)到(いた)り。房(ばう)毎(ごと)に踏込(ふんごみ)寺内(じない)の僧俗(そうぞく)を悉(こと〴〵)く搦捕(からめとり)ける にぞ。為空(ゐくう)清真(せいしん)覚浄(かくじやう)三 僧(そう)は本堂(ほんどう)の内陣(ないぢん)に寄集(よりあつまり)て旅支度(たびじたく)を整(とゝの)へ居(ゐ)けるに 早(はや)宦吏(やくにん)向(むか)ふたりと聞(きゝ)以(もつて)の外(ほか)に仰天(げうてん)し。須弥壇(しゆみだん)の下 仏像(ぶつぞう)の影(かげ)などへ這隠(はひかく)れ。仏(ぶつ) 名(めう)を唱(とな)へ慄(おのゝ)き居(ゐ)けるを。宦吏(くわんり)来(きた)りて捜(さが)し出(いだ)して搦捕(からめとり)。二人の梵妻(かくしづま)を尋(たづぬ)るに更(さら)