Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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氏(し)の先祖(とふつおや)は景行天皇(けいかうてんわう)の皇子(みこ)稲脊入彦命(いなせいりひこのみこと)と申人 日本武尊(やまとだけのみこと)に随(したが)ふて東夷(とうい) を征伐(せいばつ)し頗(すこぶ)る勲功(くんかう)有(あり)しかば。其(その)恩賞(おんせう)として讃岐国(さぬきのくに)にて地(ち)を班(わか)ち給(たま)はりし より屏風(べうぶ)が浦(うら)を居所(きよしよ)とし。稲脊入彦命(いなせいりひこのみこと)の孫(まご)阿良都別命(あらとわけのみこと)の男(なん)豊島(とよしま)と云(いふ) 人 孝徳(かうとく)天皇の御宇(ぎよう)に佐伯直(さいきあたひ)と姓(せい)を給ひ。後(のち)直(あたひ)を略(りやく)して佐伯氏(さいきし)と名乗(なのり)ぬ 其(その)子孫(しそん)の佐伯某(さいきなにがし)伊予親王(いよのしんわう)の学師(がくし)従(じふ)五 位下(ゐのげ)阿刀宿祢(あとのすくね)大足(おほたる)の姉(あね)を娶(めとつ)て 妻(さい)とす。然(しかる)に佐伯氏(さいきし)初老(しよらう)の比(ころ)まで一子(いつし)無(なき)を歎(なげ)き。三 宝(ぼう)に祈誓(きせい)して一 子(し)を授(さづけ) 給へと丹誠(たんせい)を凝(こら)し祈(いのり)ければ。其(その)信心(しん〴〵)を諸仏(しよぶつ)も感納(かんのふ)在(ましま)しけん一夜(あるよ)の夢(ゆめ)に一人の 聖僧(せいそう)端厳(たんごん)微妙(みめう)なるが。妻(つま)阿刀氏(あとし)の懐中(くわいちう)に飛入(とびいる)と見て夢(ゆめ)は覚(さめ)けり。偖(さて)夫婦(ふうふ) 夢(ゆめ)を語合(かたりあふ)にともに同(おな)じ夢(ゆめ)なりけるゆへ奇異(きい)の思(おもひ)をなしける内(うち)。程(ほど)なく阿刀氏(あとし)妊(にん) 娠(しん)し。十二 月(つき)めに平(たいら)かに男子(なんし)を生(うめ)り。是(これ)光仁天皇(かうにんてんわう)五年六月十五日なり。父母(ふぼ)の怡(よろこ)び 斜(なゝめ)ならず。霊夢(れいむ)を感(かん)じて儲(まうけ)し子(こ)なればとて。稚名(おさなゝ)を貴物(たときもの)と呼(よび)寵愛(てうあい)すること