Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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ページ: 215

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掌(てのうち)の玉(たま)のごとし。此児(このこ)四五才の比(ころ)より尋常(よのつね)の児(こ)と交(まじは)り遊(あそ)ばず。只(たゞ)土(つち)を塊(つがね)て仏(ぶつ) 像(ぞう)の形(かたち)を作(つく)り。或(あるひ)は竹木(ちくぼく)を以(もつ)て堂舎(どうしや)の体(てい)を摸(うつ)し。礼拝(らいはい)供養(くやう)するを遊戯(あそびごと) として楽(たのし)みけるにぞ。父母(ふぼ)相語(あひかたり)て此児(このこ)成長(ひとゝなる)の後(のち)は出家(しゆつけ)得道(とくどう)すべしと申され ける。然(しかる)に貴者(たときもの)六才の年(とし)夢(ゆめ)に諸(もろ〳〵)の仏(ぶつ)菩薩(ぼさつ)八 葉(よう)の蓮花(れんげ)の上に座(ざ)して説法(せつほふ) し玉ふと見たり。されども稚心(おさなごゝろ)にも深(ふか)く秘(ひ)して父母(ちゝはゝ)にも夢(ゆめ)の事を語(かた)らず。内心(ないしん)には 仏門(ぶつもん)に入んとの志願(しぐわん)是(これ)より起(おこ)りけり。斯(かく)て後(のち)は弥(いよ〳〵)三 宝(ぼう)を崇(あが)め菓(このみ)餅(もちゐ)なんどを得(える) ときは先(まづ)仏前(ぶつぜん)に供(そなへ)て供養(くやう)し。其後(そのゝち)ならでは食(しよく)する事なし。八 才(さい)の年(とし)都(みやこ)の巡察使(じゆんさつし) 讃州(さんしう)へ下向(げかう)有(あり)ければ。国中(こくちう)の男女(なんによ)老少(らうせう)路(みち)の両辺(りようへん)に群(むらが)りて其(その)行列(ぎやうれつ)を見物(けんぶつ)しけるに 貴者(たときもの)も衆人(しゆうじん)に雑(まじ)りてともに見物(けんぶつ)しけるに。巡察使(じゆんさつし)貴者(たときもの)を見て俄(にはか)に馬(むま)より下(おり)て 礼拝(らいはい)し其所(そのところ)を過(すぎ)てまた馬(むま)に乗(の)られけるにぞ。衆人(みなひと)不審(ふしん)晴(はれ)ず。そも何(なに)ゆへやら んと私語(さゝやき)合(あひ)ける。杳(はるか)【杏は誤記】に行(ゆき)すぎて巡察使(じゆんさつし)の従者(じふしや)主(しゆう)に向(むか)ひ。今 彼所(かしこ)にて下馬(げば)し