Gallicaの日本資料を翻刻!

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礼拝(らいはい)し給ひしは如何(いか)なる故(ゆへ)に候やと問(とひ)けるに巡察使(じゆんさつし)が曰(いゝく)【ママ。「いはく」とあるところ。】。你們(なんじら)見ずや彼所(かしこ)に居(ゐ)たる 小児(せうに)凡人(ぼんにん)ならず。四天王(してんわう)天蓋(てんがい)を捧(さゝげ)て守護(しゆご)し給へり。我(われ)何(なん)ぞ下馬(げば)せざらんと語(かた)り けるにより。是(これ)より貴者(たときもの)を誰(たれ)いふとなく佐伯氏(さいきし)の子(こ)は神童(しんどう)なりとぞ言触(いひふら)しける。其(その) 後(のち)貴者(たときもの)十二才になり。いよ〳〵才智(さいち)万人(ばんにん)に勝(すぐ)れ行迹(かうせき)長者(ちようしや)も及(およば)ず。三 宝(ぼう)を崇(あがむ)る 事(こと)倍(ます〳〵)深(ふか)かりければ。一時(あるとき)父(ちゝ)我子(わがこ)に向(むか)ひ。你(なんじ)は父(ちゝ)の家督(かとく)を嗣(つぎ)て先祖(せんぞ)を燿(かゝやか)し一 国(こく)を治(おさ) めんとおもふや。また出家(しゆつけ)得道(とくどう)して仏(ぶつ)菩薩(ぼさつ)に仕(つかへ)んとおもふやと問(とひ)けるに。貴者(たときもの)答(こたへ)て それ武士(ものゝふ)となりて一 国(こく)の政事(まつりごと)をよく治(おさむ)るとも。纔(わづか)に一 国(こく)の人民(にんみん)を安穏(あんおん)ならしむのみ 出家(しゆつけ)して仏道(ぶつどう)を修行(しゆぎやう)し普(あまね)く末世(まつせ)の衆生(しゆじやう)を済度(さいど)せんこそ広大(くわうだい)の功徳(くどく)に候と曰(いひ) けるにぞ。父(ちゝ)も理(り)に伏(ふく)して再(ふたゞ)ひ【注】言(ことば)を発(はつ)する事 能(あた)はず。然(しかる)に外戚(おほぢ)阿刀大足(あとのおほたり)来(きた)りて佐(さ) 伯氏(いきし)に曰(いはく)。子息(しそく)已(すで)に十二才に及(およべ)ばよろしく大学(だいがく)に入しめ経史(けいし)を学(まな)ばしむべし。我(われ)都(みやこ) へ将(つれ)て上(のぼ)り教導(きやうどう)すべしと曰(いひ)ければ。父母(ちゝはゝ)とも怡(よろこ)び其(その)詞(ことば)に順(したが)ひ。貴者(たときもの)を大足(おほたり)に預(あづ)け 【注 濁点の位置の誤記】