Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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ページ: 227

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覚(かく)ありて空海師(くうかいし)を招(まね)き。我(わが)徒弟(でし)数多(あまた)ありといへども。皆(みな)其(その)器量(きりやう)狭(せま)く根気(こんき) 薄(うす)くして仏法(ぶつほふ)の蘊奥(うんおう)を悉(こと〴〵)く譲(ゆづ)り授(さづ)くるに足(たら)ず。然(しかる)に你(なんじ)遠(とふ)く此国(このくに)に来(きた)り 師弟(してい)の契約(けいやく)をなし我(わが)秘訣(ひけつ)を尽(こと〴〵)く伝授(てんじゆ)し今は望(のぞみ)足(た)れり。我(われ)已(すで)に現世(このよ)の化(け) 縁(えん)尽(つき)なんとす。久(ひさ)しく留(とゞま)るべからず。前(さき)に経論(きやうろん)仏具(ぶつぐ)あらかじめ譲(ゆづ)り与(あたへ)たれども。尚(なほ)又(また) 遺(のこ)る宝器(ほうき)を譲(ゆづ)り与(あた)ふべしとて。仏舎利(ぶつしやり)八十 粒(りう)《割書:中に金色(こんじき)の|舎利一粒有》白緤(びやくでふ)の大 曼陀羅(まんだら) 五 宝(ほう)の三 昧耶金剛(まやこんがう)及(およ)び種々(しゆ〴〵)の霊器(れいき)を悉(こと〴〵)く授(さづ)け。懇(ねんごろ)に遺言(ゆいごん)ありて程(ほど)な   く病床(びやうしやう)に打臥(うちふし)。遂(つひ)に唐(とう)の永貞(えいてい)元年(ぐわんねん)十二月十五日 手(て)に密印(みついん)を結(むす)び眠(ねむる)がごとく 遷化(せんげ)せられけり。諸(もろ〳〵)の徒弟(とてい)の悲歎(ひたん)はしばらくおき。空海師(くうかいし)はわきて歎(なげき)の色(いろ)深(ふか) く紅涙(かうるい)に三 衣(え)の袂(たもと)を絞(しぼ)り追恋(ついれん)の念(おもひ)またやるかたもなかりけり。則(すなは)ち師(し)の墓(はか)に 碑(いしふみ)を建(たて)。自身(じしん)碑文(ひぶん)を作(つく)り慧果阿闍梨(けいくわあじやり)一 代(だい)の道徳(どうとく)を綴(つゞ)り著(あらは)されける。其(その) 文辞(ぶんじ)絶妙(ぜつめう)にして。唐朝(とうてう)の鴻儒(かうじゆ)碩徳(せきとく)も是(これ)を賞美(せうび)し。人口(じんかう)に鱠炙(くわいしや)しけり