Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

- 翻刻

 - ページ 236

ページ: 236

翻刻

を奏聞(そうもん)し。前(さき)に記録(きろく)を奉りし如(ごと)く唐土(とうど)にて得(え)たる所(ところ)の。新 訳(やく)の経巻(きやうくわん)一百四十二部。梵(ぼん) 字 真言(しんごん)の讃(さん)等(とう)四十二部。論章(ろんせう)三十二部。仏 像(ぞう)十 軀(く)。仏器(ぶつき)九 種(しゆ)。慧果阿闍梨(けいくわあじやり) より付属(ふぞく)の宝物十三 種(しゆ)。いづれも金襴(きんらん)【注】の縹(へう)。珠玉(しゆぎよく)の軸(ぢく)に荘厳(せうごん)を尽(つく)せしを奏献(そうけん) ありければ。平城天皇(へいぜいてんわう)大いに睿感(ゑいかん)在(ましま)し。無事に帰朝(きてう)し多(おほ)くの重宝(ちようほう)を献(けん)ぜし義 を御褒賞(ごほうせう)ありて種々(しゆ〴〵)の賞物(せうもつ)を賜(たま)はり。伝来(でんらい)の真言密乗(しんごんみつじやう)を天下に流通(るつう)すべ きよしの宣旨(せんじ)を下され。高雄(たかを)の神護(じんご)寺を給(たま)ひて住侶(ぢうりよ)せしめ給ひけり。此時 橘逸成(たちばなはやなり) にも入唐(につとう)勤学(きんがく)の功(かう)を御 賞美(せうび)ありて。是(これ)又(また)種々(しゆ〴〵)の御 恩賞(おんせう)を下されけり。去程(さるほど)に空(くう) 海和尚(かいおしやう)は高雄(たかを)神護(じんご)寺に住(ぢう)し専(もつは)ら諸弟子(しよでし)を教(をしへ)厲(はげま)し。天下に真言宗(しんごんしう)を流通(るつう)せ んと昼夜(ちうや)心神(しん〴〵)を凝(こら)し給ひけり。然(しかる)に朝廷(てうてい)には平城(へいぜい)天皇 御多病(ごたびやう)に依(よつ)て宝位(みくらゐ)を 春宮(とうぐう)に譲(ゆづ)らせ給ひ。平城(なら)の旧都(きうと)へ遷(うつ)【迁は俗字】り給ひ世は嵯峨(さが)天皇の御宇(ぎよう)となり。年号(ねんがう)も弘(かう) 仁(にん)元年と改(あらた)まり。内裡(だいり)の諸(しよ)門を悉(こと〴〵)く修理(しゆり)せられ。工匠(かうせう)の功(かう)已(すで)に畢(をはり)ければ。東西の門 【注 襴、史料の字面が糸扁は誤】