Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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ページ: 241

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下(くだ)り真綱(まづな)に向(むか)ひ高声(たからか)に。貴卿(きけい)当寺(このてら)へ新額(しんがく)を寄付(きふ)せられんと是(これ)まで持参(じさん)せられ し段(だん)怡入(よろこびいり)候。然(しかる)に㵎河(たにがは)の橋(はし)落(おち)たれば渡(わた)り給はん事も煩(わづら)はしかるべし。空海(くうかい)是所(こゝ)より 額面(がくめん)に拙筆(せつひつ)を揮(ふる)ひ候はんあいだ。其(その)額(がく)を高(たか)くさし上て持(もた)せ給へと仰(あふせ)ければ。真綱(まづな)は空(くう) 海師(かいし)の。額(がく)の文字(もじ)を望(のぞ)む意(い)を早(はや)く察知(さつち)せられしを驚嘆(きやうたん)しながら。此処(こゝ)と彼所(かしこ)とは㵎(たに) 一ツを隔(へだて)たるに。彼所(かしこ)より額(がく)の文字(もんじ)を書(かゝ)んとは。如何(いか)なる方便(はうべん)にやと不審(いぶかり)ながら。権者(ごんじや)の詞(ことば) なればとて。従者(じふしや)に命(めい)じ額(がく)を高(たか)く指上(さしあげ)させてぞ待居(まちゐ)ける。空海和尚(くうかいおせう)は谷川(たにがは)を隔(へだて)其(その)間(あい) 遙(はるか)なる坂(さか)の巌(いはの)頭(うへ)に立(たち)給ひ。徒弟(とてい)に持(もた)せたる筆(ふんで)を執(とり)て墨(すみ)を含(ふくま)せ。額面(がくめん)に向(むか)ひて毫(ふで)を 揮(ふる)ひ給ふに。不思議(ふしぎ)や其(その)墨(すみ)雲(くも)霧(きり)のごとく空中(くうちう)を飛(とび)到(いたり)て。額(がく)の面(おもて)に神護(しんご)国祚(こくそ)真言(しんごん) 寺(じ)と墨黒(すみぐろ)に著(あらは)れ筆勢(ひつせい)類(たぐひ)なく書(かき)給ひけるにぞ。真綱(まづな)を先(さき)とし在合(ありあふ)輩(ともがら)噫(あつ)と計(ばかり) 感嘆(かんたん)する声(こゑ)㵎(たに)の水音(みづおと)に雑(まじ)りて少時(しばし)は鳴(なり)も止(やま)ざりけり。真綱(まづな)は眼前(がんぜん)の奇特(きどく)を見 て屢(しば〳〵)讃美(さんび)し。かゝる不思議(ふしぎ)の御 墨跡(ぼくせき)天覧(てんらん)に備(そなへ)て後(のち)寄付(きふ)し候べしとて。拝辞(はいじ)し