Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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ページ: 252

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其(その)跡(あと)を礼拝(らいはい)し神恩(しんおん)を謝(しや)し給ひ。是(これ)より山を高野山(かうやさん)と号(なづ)け南山(なんざん)に一 社(しや)を立(たて)て高(かう) 野大明神(やだいめうじん)を鎮(しづめ)祭(まつ)り。又 麓(ふもと)の天野(あまの)に丹生津姫命(にふつひめのみこと)を鎮(しづめ)祭(まつ)り給ひ。倶(とも)に高野山(かうやさん)の鎮(ちん) 守(じゆ)の神(かみ)と崇(あがめ)給ひけり。然(しか)るに又 不思議(ふしぎ)なるは山中(さんちう)を切(きり)払(はら)はせられける樹木(じゆもく)の中に一 株(ちう) の松(まつ)ありて。先年(せんねん)帰朝(きてう)の節(せつ)拋(なげう)ち給ひし龍猛菩薩(りうみやうぼさつ)伝来(でんらい)の三鈷(さんこ)儼然(げんぜん)として懸(かゝ) りけり。空海和尚(くうかいおせう)是(これ)を見給ひて愕然(がくぜん)とし感涙(かんるい)にむせ給ひ。偖(さて)は此(この)霊器(れいき)疾(とく)より此(この)山 に留(とゞま)り伽藍(がらん)を建(たつ)べき地(ち)を卜(しめ)給ふにこそ。彼(かの)高野明神(かうやめうじん)猟夫(れうし)と化(け)して我(われ)に此(この)山を指(さし) 教(をしへ)給ひし時(とき)昼(ひる)は紫雲(しうん)たなびき夜(よる)は霊光(れいかう)耀(かゝや)けりと告(つげ)給ひしも此(この)霊器(れいき)のある 奇特(きどく)にていよ〳〵秘教(ひきやう)相応(さうおう)の霊地(れいち)なる事 是(これ)を以(もつ)てしるべしとて歓喜(くわんぎ)踊躍(ゆやく)に 堪(たへ)玉はず。三 股杵(こしよ)を取(とつ)て三度(みたび)押(おし)頂(いたゞ)き給ひけり。即(すなは)ち今 猶(なを)高野山(かうやさん)の宝蔵(ほうざう)に納(おさま)り。松(まつ)は 三 鈷(こ)の松(まつ)と号(がう)して今の世(よ)までも繁茂(はんも)せり。斯(かく)て草菴(さうあん)成就(じやうじゆ)しければ空海和尚(くうかいおせう)大に 怡(よろこ)び給ひ。是(これ)より都(みやこ)の法務(ほふむ)の暇(いとま)ある時(とき)は高野山(かうやさん)の菴室(あんじつ)に住(すみ)て行(おこな)ひ澄(すま)し給ひけり