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はりけり。同時(どうじ)に南都(なんと)の守敏僧都(しゆびんそうづ)に洛(らく)の西寺(さいじ)を給(たま)はり抑(そも〳〵)東寺(とうじ)西寺(さいじ)は古(いにしへ)の鴻(かう)
臚館(ろくわん)【舘は俗字】にて唐土(もろこし)より来朝(らいてう)する使者(ししや)を侍饗(もてなし)する旅館(りよくわん)【舘は俗字】なりけるを桓武天(くわんむてん)
皇(わう)の御宇(ぎよう)に寺(てら)となし給ひて東寺(とうじ)西寺(さいじ)と号(なづけ)られたり。是(これ)平城(なら)の東大寺(とうだいじ)西大(さいだい)
寺(じ)に准(じゆん)ぜられしなり。空海和尚(くうかいおせう)東寺(とうじ)を拝領(はいりやう)ありて則(すなは)ち寺中(じちう)に灌頂院(くわんてういん)を建(たて)
て唐土(とうど)の青龍寺(せいりうじ)の法式(ほふしき)に効(なら)ひ毎歳(まいさい)二序(にじよ)灌頂(くわんでう)の法事(ほふじ)を執行(とりおこな)はれ恵果(ゑくわ)
禅師(ぜんじ)より付嘱(ふぞく)せられたる健陀国(けんだこく)の穀子(こくし)の袈裟(けさ)同(おなじ)く念珠(ねんじゆ)唐帝(とうてい)より拝受(はいじゆ)の
珠数(じゆず)唐土(とうど)より請来(しやうらい)の一百 余部(よぶ)の金剛乗(こんがうでう)の法文(ほふもん)三 国(ごく)相承(さうぜう)の仏舎利(ぶつしやり)仏像(ぶつぞう)
等(とう)を尽(こと〴〵)く大経蔵(たいきやうざう)に納(おさ)め永(なが)く当寺(とうじ)の什宝(ぢうほう)とぞせられける。凡(およそ)真言(しんごん)三 部(ぶ)の秘経(ひきやう)
の中(なか)に東寺(とうじ)は金剛頂経(こんがうてうけう)《割書:金剛頂経を|教王経とも云》の道場(どうぢよう)となして専(もつぱ)ら金剛界(こんがうかい)の法(ほふ)を修(しゆ)し
秘密(ひみつ)曼荼羅(まんだら)および。空海和尚(くうかいおせう)自作(じさく)の仏像(ぶつぞう)二十一 軀(く)を安置(あんち)し給ふ。かるがゆへに
秘密(ひみつ)伝法(でんほふ)弥勒山(みろくざん)【勤は誤】普賢(ふげん)惣持院(そうじいん)金光明(こんこうめう)四天王(してんわう)教主(けうしゆ)護国寺(ごこくじ)と号(がう)せられける