Gallicaの日本資料を翻刻!

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峨(が)の離宮(りきう)へ遷(せん)【迁は俗字】幸(かう)なし給ひける。是(これ)ひとへに倹約(けんやく)を民(たみ)に示(しめ)し奢移(おごり)【侈とあるところ】を誡(いまし)め玉はんための 御 事(こと)とぞ聞(きこ)えし。誠(まこと)に難有(ありがたき)聖君(せいくん)にてぞおはしける。斯(かく)て其年(そのとし)も暮(くれ)明(あく)る天長(てんてう)二 年の春(はる)より夏(なつ)にかけ三月(みつき)の間(あいだ)雨(あめ)曽(かつ)て降(ふら)ず。諸国(しよこく)とも旱魃(かんばつ)して農民(のうみん)們(ら)耕種(うえつけ)す べき水(みづ)の便(たより)を失(うしな)ひ大いに困窮(こんきう)におよびければ淳和(じゆんわ)天皇 宸襟(しんきん)を悩(なやま)し給ひ。群臣(ぐんしん)を 召(めさ)れて御 評議(へうぎ)あり。此上(このうへ)は行徳(ぎやうとく)勝(まさ)れし僧綱(そうかう)に命(めい)じ雨(あめ)を祈(いのら)せよと勅詔(ちよくぜう)在(あり)ける を西寺(さいじ)の守敏僧都(しゆびんそうづ)早(はや)くも洩聞(もれきゝ)て急(いそ)ぎ参内(さんだい)して奏(そう)しけるは。貧道(ひんどう)守敏(しゆびん)多年(たねん) 身命(しんめい)を拋(なげう)つて仏道(ぶつどう)の奥義(おうぎ)をが学(まな)び究(きは)め。就中(なかんづく)祈雨(あまこひ)の法(ほふ)に熟(じゆく)し候へば。此度(このたび)の祈雨(あまごひ)を 拙僧(せつそう)に命(めい)じ玉はるべしとぞ願(ねがひ)ける。是(これ)空海和尚(くうかいおせう)へ勅命(ちよくめい)の下(くだ)らぬ前(さき)に祈雨(あまごひ)して。雨(あめ)を 降(ふら)して空海師(くうかいし)に鼻(はな)あかせ。先年(せんねん)の遺恨(いこん)を晴(はら)さんとの心 巧(たく)みなり。執奏(しつそう)の公卿(くげう)其旨(そのむね)を 奏聞(そうもん)におよびければ。帝(みかど)も御 信仰(しんかう)の守敏(しゆびん)が願(ねがひ)ゆへ。しからば守敏(しゆびん)に雩法(あまごひ)の義(ぎ)を命(めい)ず べしとの宣旨(せんじ)を下(くだ)し給へり。守敏(しゆびん)大いに悦(よろこ)び謹(つゝし)んで勅命(ちよくめい)を奉(うけたま)はり。一 七日(しちにち)を出(いで)ず大雨(たいう)を