Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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ページ: 265

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欲(ほつ)すとも天(てん)を汚(けが)す事 能(あた)はず。却(かへつ)て其身(そのみ)を汚(けが)すとは将(まさ)に守敏(しゆびん)が謂(いひ)なり。其(その)罪(つみ)己(おのれ)に皈(き) するのみ。渠(かれ)に龍(りよう)を封(ふう)ずる力あれば我(われ)また雨(あめ)を呼(よぶ)法力(ほふりき)なからずやは。此(この)神泉苑(しんせんえん)の池中(ちゝう) には善女龍王(ぜんによりうわう)とて阿耨達池(あのくだつち)の龍王の御 女(むすめ)にて。守敏(しゆびん)なんどの行力(ぎやうりき)にては駆(かる)事 能(あた)はず 始(はじめ)より守敏(しゆびん)がさる巧(たく)みを為(なす)事をしらば。疾(とく)にも善女龍王(ぜんによりうわう)を請詔(しやうぜう)して雨を乞(こは)んもの を。不知(しらず)して空(むな)しく日を重(かさね)たり。見よ〳〵一両日を過(すご)さず膏雨(かうう)を降(ふら)して普(あまね)く万民(ばんみん)の歎(なげ) きを怡(よろこ)びに反(かへ)し得(え)さすべしとて。朝廷(てうてい)へは二日の日延(ひのべ)を願(ねがひ)給ひ茅(ちがや)を結(むす)んで一ツの蛇(じや) 形(ぎやう)を造(つく)り池辺(ちへん)の檀(だん)上に祭(まつ)りて再(ふたゝ)び真言(しんごん)秘密(ひみつ)の雩法(あまごひ)を修(しゆ)し。丹誠(たんせい)を抽(ぬきん)でゝ祈(いのり) 玉ふ事一日一 夜(や)に及(およ)びければ。忽(たちま)ち池中(いけのうち)より其(その)長(たけ)八寸ばかりの金色(こんじき)の小蛇(せうじや)出現(しゆつげん)し。檀(だん) 上の龍(りよう)の形代(かたしろ)《割書:長サ|一丈》の頭(かしら)の上(うへ)に乗(のり)給ふ。真雅(しんが)実恵(じつゑ)以下(いげ)の高弟(かうてい)の眼(め)には見えけれども 其余(そのよ)尋常(よのつね)の僧(そう)または守護(しゆご)の公卿(こうけい)武士(ぶし)などは是(これ)を見る事 能(あた)はず空海和尚(くうかいおせう)は神(しん) 龍(りよう)の出現(しゆつげん)を見給ひて大いに歓喜(くわんぎ)あり。倍(ます〳〵)精神(せいしん)を励(はげま)して祈(いのり)給へば神蛇(しんじや)は首(くび)を伸(のば)して