Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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悉(こと〴〵)く差止(さしとめ)て讃州(さんしう)へ帰(かへ)らしめ給ひ。偖(さて)幽静(ゆうせい)の地(ち)をえらみて菴室(あんじつ)を建(たて)御 母尼(はゝに) 公(こう)を住(すま)しめ給ひける。是(これ)より尼公(にこう)は仏道(ぶつどう)に心を傾(かたむ)け給ひ。昼夜(ちうや)二六 時中(じちう)勤行(ごんげう) 怠(おこた)り玉はず。終(つひ)に七十八才にて大 往生(わうじやう)し給ひけり。空海和尚(くうかいおせう)其(その)亡骸(なきから)を菴室(あんじつ)の 側(かたはら)に葬(ほふむ)り御 跡(あと)懇(ねんごろ)に弔(とふら)【吊は俗字】ひ給ひ。菴室(あんじつ)を仏堂(ぶつどう)となし給ふ慈尊院(じそんいん)是(これ)なり 其砌(そのみぎり)に不動坂(ふどうざか)の上に女人堂(によにんどう)を建(たて)給へり。偖(さて)五十九才の御 年(とし)藤原某(ふぢはらそれ)卿(きやう)の志(し) 願(ぐわん)に依(よつ)て万灯会(まんどうゑ)を修(しゆ)せられければ。空海和尚(くうかいおせう)深(ふか)く御 賞美(せうび)在(ましま)し灯明(とうめう)の徳(とく)は 日月(じつげつ)の光(ひかり)に嗣(つぎ)無明(むめう)の闇(やみ)を照(てら)すを以(もつ)て仏前(ぶつぜん)に一 灯(とう)を供(くう)ずるさへ其(その)功徳(くどく) 莫(ばく) 大(たい)なり。況(いはん)や万灯(まんどう)供養(くやう)に於(おいて)おや。現当(げんとう)二 世(せ)安楽(あんらく)は申に及(およば)ず子孫(しそん)繁昌(はんじやう)の祈祷(きとう) 何事(なにごと)か是(これ)に勝(まさ)るべきとぞ仰せ(あふせ)られける。斯(かく)て年月(ねんげつ)押移(おしうつ)り空海和尚(くうかいおせう)六十一才に なり給ふ年(とし)の十一月十五日。諸(もろ〳〵)の高弟(かうてい)達(たち)に告(つげ)て曰(のたまは)く。我(われ)予(かね)ては一百才まで世(よ)に住(ぢう)し て教法(きやうほふ)を守(まも)らむ所存(しよぞん)なりしが。思(おも)ふ子細(しさい)あれば明年(みやうれん)【ママ 「れ」は誤ヵ】三月 入定(にふでう)し都卒天(とそつてん)に往(わう)