Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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ページ: 295

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父母(ちゝはゝ)の家(いへ)へ来(きた)り給はり候へと言(いひ)けるにぞ。浦島(うらしま)は女の容貌(みめかたち)に心 動(うご)きし事なれば。大いに悦(よろこ) び前後(ぜんご)の思慮(しりよ)にも及(およ)ばず頓(とみ)に承引(うけひき)て。女に伴(ともな)はれて浜辺(はまべ)へ到(いた)りけるに。女 浦島(うらしま)に対(むか)ひ 君(きみ)しばらく目(め)を閉(とぢ)給ひ妾(わらは)がしらせ候まで目(め)を開(あ)き給ふ事 勿(なか)れと曰(いふ)より。浦島(うらしま)其(その)詞(ことば) に順(したが)ひ目(め)を閉(とぢ)けるに。船(ふね)に乗(のり)海上(かいしやう)をわたり行(ゆく)よとおもふ事 半時(はんとき)ばかりにして。女 声(こゑ)をか け。今は我(わが)栖家(すみか)に着(つき)はべり目(め)を開(あき)給へといふにつき。浦島(うらしま)眼(め)を開(あき)てあたりを見るに一宇(いちう) の大廈(たいか)【厦は俗字】ありて。軒(のき)高(たか)く門(もん)闊(ひろ)く。甍(いらか)は玉(たま)の如(ごと)く見(み)も馴(なれ)ざる草木(さうもく)生(おひ)て香気(かうき)馥郁(ふくいく)【「復」の旁+阝(おおざと)は誤記】と芳(かうば)し く鼻(はな)を穿(うがつ)にぞ。浦島(うらしま)心 駭(おどろ)き此国(このくに)にもかゝる所の有(あり)けるかと不審(いぶかり)ながら。女の引路(あない)に従(したが)ひ て門内(もんない)へ入 歩(あゆ)み往(ゆく)に所々(ところ〳〵)に楼閣(ろうかく)ありて。荘厳(しやうごん)悉(こと〴〵)く金銀(きん〴〵)珠玉(しゆぎよく)を鏤(ちりば)め。綾(あや)の帳(とばり)錦(にしき)の 幕(まく)を垂(たれ)たり。偖(さて)瑠璃(るり)の橋(はし)をわたり珊瑚(さんご)の牀(ゆか)に上(のぼ)りて繍(ぬいもの)【綉は俗字】の茵(しとね)の上に坐(ざ)しければ。風姿(すがた)艶(うるは) 麗(しげ)なる女 数(す)十人 出来(いできた)り。各(おの〳〵)玉(たま)の觴(さかづき)琥珀(こはく)の盤(ばん)其余(そのほか)種々(いろ〳〵)の器(うつわ)捧出(さゝげいづ)るに。悉(こと〴〵)く光輝(ひかりてり) 透徹(すきとふら)ざるはなきに。佳菓珍菜(かくわちんさい)を盛(もり)て席中(せきちう)にならべければ。浦島(うらしま)を伴(ともな)ひ来(きた)りし女