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門外(もんぐわい)へ追出(おひいだ)す。胆沢(いざは)悪(あく)太郎も味方(みかた)を励(はげま)し。また切進(きりすゝ)んで敵(てき)を門内(もんない)へ追込(おひこみ)如此(かくのごとく)互(たがひ)に
追(おつ)つ返(かへ)しつ討(うつ)つ討(うた)れつして挑(いど)み戦(たゝか)ひける内(うち)。呰麻呂(しまろ)は金窪(かなくぼ)以下(いげ)百余人にて裏門(うらもん)を
打破(うちやぶ)り。松明(たいまつ)揮立(ふりたて)て乱入(みだれいり)ければ。女(をんな)童(わらべ)は泣叫(なきさけ)んで逃迷(にげまよ)ふを情(こゝろ)なき荒夷(あらゑびす)ども当(あた)るを
幸(さいは)ひに此所(こゝ)彼所(かしこ)に切伏(きりふせ)ける。呰麻呂(しまろ)諸卒(しよそつ)に下知(げぢ)し。彼(かの)奪(うばは)れし女を生捕(いけどれ)よと命(めい)じ
けるにより。兵士(へいし)ども館(やかた)【舘】の間毎々々(まごと 〳〵 )を尋捜(たづねさが)し。遂(つひ)に彼女(かのをんな)を搦捕(からめとり)ける。広純(ひろずみ)は表(おもて)に在(あつ)て
味方(みかた)の士卒(しそつ)に下知(げぢ)を伝(つたへ)て在(あり)けるに。裏門(うらもん)よりも賊兵(ぞくへい)乱入(らんにふ)せりと聞(きい)て再(ふたゝ)び駭(おどろ)き。十人
余(あまり)の家士(いへのこ)を従(したが)へて奥(おく)へ引返(ひつかへ)すところに。端(はし)なく呰麻呂(しまろ)と往合(ゆきあふ)たり。呰麻呂(しまろ)広純(ひろずみ)
と見るより眼(まなこ)を瞋(いから)し大音(だいおん)に。いかにや広純(ひろずみ)你(なんじ)此国(このくに)の守(かみ)たる大任(たいにん)を蒙(かふむ)りながら。仁(じん)
義(ぎ)を旨(むね)とせず貪戻(たんれい)を専(もつはら)として国人(くにたみ)を虐(しへた)げ苦(くるし)め剰(あまつさ)へ我 愛妾(あいせう)を奪(うばひ)取(とつ)て婬楽(いんらく)
を恣(ほしいまゝ)にする不義(ふぎ)無道(ぶどう)言語同断(ごんごどうだん)なり。故(かるがゆへ)に国人(くにたみ)恨(うらみ)背(そむ)き我に勧(すゝめ)て今夜(こんや)你(なんじ)を討(うた)
しむる所(ところ)なり。己(おのれ)が罪(つみ)己(おのれ)を責(せむ)ると観念(くわんねん)し。我(わが)一刀(いつとう)を受(うけ)て冥府(めいふ)へ赴(おもむけ)よと詈(のゝし)りければ