Gallicaの日本資料を翻刻!

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広純(ひろずみ)聞(きい)て大いに怒(いか)り。恩(おん)を見て恩を知(しら)ざる人面(にんめん)獣心(じふしん)天罸(てんばつ)の程(ほど)を思(おも)ひしらせんと 太刀(たち)抜插(ぬきかざ)して撃(うつ)てかゝるに。呰麻呂(しまろ)も望(のぞ)む所の妻敵(めがたき)と。同(おなし)く太刀(たち)を揚(あげ)て一 往(わう)一 来(らい)し 戦(たゝか)ふ事二十 余合(よがふ)。いまだ雌雄(しゆう)を決(けつ)せざる所(ところ)に。金窪兵太(かなくぼひやうだ)弓矢(ゆみや)つがへて兵(ひやう)ど切(きつ) て放(はな)しければ過(あやま)たず広純(ひろずみ)が胸板(むないた)より背(そびら)へつと射通(ゐとふ)したり。大事(だいじ)の手(て)なれば暫(しばし)も 堪(こらへ)ず苦(あつ)と叫(さけ)んで仰反(のけぞり)に仆(たをれ)けるを。呰麻呂(しまろ)透(すか)さず走寄(はしりよつ)て首(くび)をぞ掻(かい)たりける 主(しゆう)を討(うた)せて残(のこ)る郎党(らうどう)們(ら)。今(いま)は誰(た)が為(ため)にか命(いのち)を■(かば)【貝+宇】【貯ヵ】ふべきと。銘々(めい〳〵)賊兵(ぞくへい)にわたり合(あひ) 刺違(さしちがへ)て死(し)するも有(あり)或(あるひ)は自身(じしん)腹(はら)掻切(かききつ)て死(し)する有(あり)て。主従(しゆう〴〵)六十 余人(よにん)同(おな)じ枕(まくら)に 討死(うちじに)しけるぞ哀(あは)れなる。賊兵(ぞくへい)も五十余人 討(うた)れ手負(ておい)は算(かぞふ)るに遑(いとま)なけれど。夜討(ようち) には全(まつた)く勝(かち)ければ。賊徒們(ぞくとら)大いに悦(よろこ)び倉稟(くら〴〵)に乱入(みだれいつ)て金銀(きん〴〵)財宝(ざいほう)絹布(けんふ)を尽(こと〴〵)く奪(うば)ひ 掠(かす)め館(やかた)【舘】に火(ひ)を掛(かけ)て焼立(やきたて)勝鬨(かちどき)を揚(あげ)てぞ引退(ひきしりぞ)きける。是(これ)に依(よつ)て諸民(しよみん)大いに駭(おどろ)き 騒(さは)ぎ東西(とうざい)南北(なんぼく)逃走(にげはし)り泣叫(なきさけ)ぶ声(こゑ)四竟(しけう)に震(ふる)ふ許(ばかり)なり。是(これ)より呰麻呂(しまろ)は勢(いきほ)ひ壮(さかん)