Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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ページ: 301

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気(き)空(そら)へ立昇(たちのぼる)と等(ひとし)く。今まで若(わか)く艶(つや)やかに見えし浦島(うらしま)忽(たちま)ち白髪(はくはつ)衰老(すいらう)の翁(おきな)と 変(へん)じ脚(あし)痿(なへ)腰(こし)痺(しびれ)て地上(ちじやう)へ噇(どう)ど仆(たを)れけるが。其(そのまゝ)朝日(あさひ)に雪(ゆき)の消(きゆ)るがごとく死(し)したり けるぞ不測(ふしぎ)なりける。されば歌(うた)にも逢夜(あふよ)の明(あく)るを浦島(うらしま)が子(こ)の玉手(’たまてばこ)に寄(よせ)てあけて 悔(くや)しきなど詠(よめ)り。国初(こくしよ)より以来(このかた)いまだ例(ためし)なき奇事(きじ)なりけり。異国(いこく)にも是(これ)に似(に)たる事 あり。後漢(ごかん)の明帝(めいてい)の永平年中(えいへいねんぢう)に。揚州(ようしう)の剡県(せんけん)といふ所(ところ)に。劉晨(りうしん)。阮肇(げんでう)とて二人の者 あり。平日(つねに)相伴(あひともな)ふて山に入 薬草(やくさう)を採(とり)。市(いち)に売(うり)て産業(なりわひ)としけるが。一日(あるひ)両人(りようにん)例(れい)の如(ごと)く相(あひ) 伴(ともな)ひて台州府(たいしうふ)の天台山(てんだいさん)へ登(のぼ)り薬草(やくさう)【艸】を採(とり)けるに。奈何(いかゞ)しけん二人とも路(みち)に踏迷(ふみまよ)ひ往(ゆけ)ど も〳〵本(もと)の路(みち)へ出(いで)ず。已(すで)に空腹(くうふく)に及(およ)びければ。桃(もゝ)の菓(み)を把(とり)て食(しよく)し少(すこ)し餓(うえ)を忘(わす)れ。㵎川(たにがは)へ 下(お)り水を手(て)に掬(すくひ)て飲(のみ)けるに。㵎河(たにがは)の水源(みなかみ)より一枚(ひとつ)の卮(さかづき)【巵は俗字】流(ながれ)きたりけるゆへ。二人 相語(あひかたつ)て曰(いはく) 此(この)卮(さかづき)の流来(ながれきたる)を以(もつ)て推量(おしはかれ)ば人里(ひとざと)ありと覚(おぼ)ゆ。いざや其(その)里(ところ)へ往(ゆき)て食(しよく)をも乞(こひ)路(みち)を尋(たづね)んと 打連(うちつれ)て流(ながれ)に添(そひ)尋(たづね)往(ゆき)けるに。漸(よふや)く一 里(り)許(ばかり)過(すぐ)れば聳(そびへ)たる巌(いはほ)有(あり)けるゆへ。其(その)巌(いはほ)を挙(よぢ)