Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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ページ: 318

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を企(くはだて)て一 味(み)をかたらひ阿保親王(あぼうしんわう)《割書:行平(ゆきひら)業(なり)|平(ひら)の父》をも味方(みかた)に勧(すゝめ)んと密(ひそか)に企(くはだて)の次第(しだい)を告(つげ)て 荷担(かたん)の義(ぎ)を頼(たのみ)けるに阿保親王は忠貞(ちうてい)廉直(れんちよく)の人なれば大いに駭(おどろ)き其(その)座(ざ)は能(よき) やうに言(いひ)なし。急(いそ)ぎ嵯峨(さが)の皇太后(かうたいこう)に斯(かく)と言上(ごんじやう)せられければ。太后(たいこう)御 駭(おどろき)太方(おほかた)ならず 右大臣(うだいじん)藤原良房公(ふぢはらのよしふさこう)に就(つい)て。恒貞親王(つねさだしんわう)隠謀(いんばう)の由(よし)を奏聞(そうもん)し給ひけるゆへ主上(しゆじやう)も 御 驚(おどろき)斜(なゝめ)ならず。甚(はなは)だ逆鱗(げきりん)まし〳〵。急(いそ)ぎ健岑(こはみね)。逸勢(はやなり)を召捕(めしとる)べしと撿非違(けびゐ) 使(し)の庁(てう)へ宣下(せんげ)し給ふ。是(これ)に依(よつ)て堂上(どうせう)堂下(どうか)以(もつて)の外(ほか)に騒動(そふどふ)しける。然(しかる)に健岑(こはみね)逸勢(はやなり)は 天罸(てんばつ)の報(むくふ)ところか。此義(このぎ)を務(ゆめ)にもしらず。健岑(こはみね)は逸勢(はやなり)が邸舎(やしき)にて囲碁(ゐご)を打(うち)て 居(ゐ)たりけるに。早(はや)く宦兵(くわんへい)押し寄せ押寄(おしよせ)力者(りきしや)ども乱入(みだれいり)四方(しはう)より取囲(とりかこ)み遂(つひ)に両人(りようにん)を虜(とりこ)にぞし たりける。逸勢(はやなり)は抜群(ばつぐん)の強力(がうりき)なれば。近付者(ちかづくもの)を二三人 抓(つか)んで投(なげ)やりけれども大勢(おほぜい)おり 重(かさな)り抑(おさ)へて縄(なは)を掛(かけ)けるに。逸勢(はやなり)片手(かたて)に有合(ありあふ)碁石(ごいし)を摑(つか)み。あら朽惜(くちをし)やと罵(のゝし)り眼(まなこ) を瞋(いから)し拳(こぶし)を強(つよ)く握(にぎ)りければ。碁石(ごいし)尽(こと〴〵)く砕(くだけ)て掌中(てのうち)よりこぼれ落(おち)けり。誠(まこと)にいかめ