Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

- 翻刻

 - ページ 321

ページ: 321

翻刻

の宝亀(ほうき)も皆(みな)亀(かめ)を献(たてまつ)りしに因(よつ)て改元(かいげん)有(あり)けり。其(その)先例(せんれい)に任(まか)せ改元(かいげん)すべしと勅詔(ちよくぜう) ありけるにより。諸卿(しよけう)評議(ひやうぎ)の上(うへ)嘉祥元年(かじやうぐわんねん)とぞ改元(かいげん)有(あり)ける。此(この)前年(まへのとし)入唐(につとう)せし 叡山(えいざん)の円仁(えんにん)帰朝(きてう)し横河(よがは)に中堂(ちうどう)を建立(こんりう)せられけり。偖(さて)嘉祥(かじやう)三年 庚午(かのへむまの)二月 主上(しゆじやう)御悩(ごのふ)に染(そま)せ給ひければ皇后(かうぐう)宮方(みやがた)公卿(こうけい)百宦(ひやくくわん)大いに驚(おどろ)き。典薬寮(てんやくれう)の医(い) 宦(くわん)は肺肝(はいかん)を砕(くだ)き霊方(れいはう)を考(かんがへ)て御薬(みくすり)を捧(さゝげ)奉(たてまつ)れども露(つゆ)其(その)効(しるし)なく。諸社(しよしや)諸寺(しよじ)の 神宦(じんくわん)僧綱(そうかう)は丹誠(たんせい)を凝(こら)して捆祈(こんき)【祵は捆の譌字】すれども御悩(ごのふ)は倍(ます〳〵)重(おも)らせ給ひ。陰陽(おんやう)の博士(はかせ)が 占文(せんもん)も頼(たのみ)少(すくな)く聞(きこ)えけるが。終(つひ)に嘉祥(かじやう)三年三月に崩御(ほうきよ)なし給ひけり。宝算(ほうさん)僅(わづか) に四十一才にてぞ在(おは)しける。近代(きんだい)明君(めいくん)続(つゞき)給へども。此君(このきみ)は就中(なかんづく)寛仁(くわんじん)大度(たいど)の聖主(せいしゆ)にて 御 孝心(かうしん)深(ふか)く文学(ぶんがく)筆道(ひつどう)を好(この)ませ給ひ。万民(ばんみん)を子(こ)のごとく撫(なで)恤(めぐみ)給ひしかば。女御(にようご) 諸(しよ)宮方(みやがた)百宦(ひやくくわん)及(およ)び諸国(しよこく)の人民(にんみん)嬰児(みどりこ)の母(はゝ)を喪(うしなひ)しが如(ごと)く哀(かなしみ)慟(いたみ)悲泣(なきなげか)ざるはなし 尊骸(そんがい)は御 遺勅(ゆいちよく)に任(まか)せ深草山(ふかくさやま)へ葬(ほふむ)り奉(たてまつ)られけり。日来(ひごろ)恩寵(おんてう)を蒙(かうむ)りし公(く)