Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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ページ: 331

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敷(じき)を構(かま)へ御随臣(みずいしん)の面々(めん〳〵)を従(したが)へて御 着座(ちやくざ)あり。其外(そのほか)武士(ぶし)下宦(したづかさ)にいたるまで庭上(ていしやう) に扣(ひかへ)て見物(けんぶつ)せり。斯(かく)て相撲(すまふ)の節会(せちゑ)の儀式(ぎしき)旧例(きうれい)に依(よつ)て厳重(げんぢう)に構(かま)へ陣(ぢん)の座(ざ)よ り三 通(つう)の皷(つゞみ)を打鳴(うちなら)すを相図(あいづ)とし立会(たちあは)せの宦人(くわんにん)《割書:今の|行司》左右(さいう)の力者(りきしや)を呼出(よびいだ)し頓(やが) て相撲(すまふ)を競(とり)はじめける。堂上(どうしやう)堂下(どうか)の諸見物(しよけんぶつ)いづれが勝(かち)いづれが負(まく)るやと片唾(かたづ)を 呑(のみ)息(いき)を詰(つめ)て瞬(またゝき)もせず見る内(うち)に。一の宮(みや)四の宮(みや)の御内人(みうちびと)は睿山(ゑいざん)。東寺(とうじ)へ人梯(ひとばしご)を掛(かけ) てい一 番々々(ばん〳〵)の勝負(しやうぶ)を祈(いのり)の師(し)へ注進(ちうしん)す。去程(さるほど)に或(あるひ)は左(ひだり)《割書:一の宮|方》勝(かち)あるひは右(みぎ)《割書:四の宮|方》かち または持(じ)となるも有(あり)て勝負(しようぶ)交(こも〴〵)なる中に一の宮方(みやがた)の勝(かち)多(おほ)かりければ。其方(そのかた)ざまの 人々(ひと〴〵)は心 勇(いさ)み最(いと)頼母(たのも)しくぞ思(おも)はれける。斯(かく)て三十 番(ばん)の勝負(しやうぶ)終(おは)り。已(すで)に頭(とう)の角力(すまふ)となり ければ。須驚(すはや)天下 分目(わけめ)の勝負(しやうぶ)此一番(このいちばん)に止(とゞま)れりと。帝(みかど)を始(はじめ)奉り殿上(でんしやう)殿下(でんか)の看宦(けんぶつ) 鳴(なり)を鎮(しづめ)て見る所(ところ)に左(ひだり)の陣(ぢん)の幕(まく)の内(うち)より左兵衛佐(さひやうゑのすけ)紀名虎(きのなどら)。犢鼻褌(とくびこん)の上に白(しろ)き 狩衣(かりぎぬ)に葵(あふひ)の仮花(つくりばな)付(つけ)たるを着(ちやく)し。例(れい)なれば石(いしの)帯(おび)をつけて大太刀(おほだち)を鴎尻(かもめじり)に帯(はき)なし