Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

- 翻刻

 - ページ 339

ページ: 339

翻刻

年始(ねんし)の節会(せちゑ)および諸(もろ〳〵)の儀式(ぎしき)は諒闇(りやうあん)の憚(はゞか)りにて行(おこな)はれず。よふ〳〵冬(ふゆ)にいたり十 一月に大嘗会(だいぜうゑ)の大礼(たいれい)を執行(とりおこな)はれけり。此君(このきみ)は勝(すぐ)れて聡明(そうめい)睿智(ゑいち)に在(ましま)し御 幼(よう) 少(せう)より学問(がくもん)を好(この)ませ給ひ。大学博士(だいがくのはかせ)春日雄継(かすかのをつぎ)に孝経(かうきやう)を受(うけ)玉ひ自今(いまより) 以後(のち)帝王(ていわう)たる人は必(かなら)ず読書(とくしよ)する始(はじめ)には先(まづ)孝経(かうけう)を読(よむ)べきなりと勅詔(みことのり)なし 玉ひけり。諸(しよ)臣下(しんか)奉(うけたま)はりて幼主(ようしゆ)には似合(にあは)せ玉はぬ。いと賢(さかし)き倫言(りんげん)かなと皆(みな)舌(した) を巻(まい)てぞ恐入(おそれいり)奉りける。されば末代(まつたい)まで帝王(ていわう)の御 読書始(とくしよはじめ)に孝経(かうけう)を読(よみ)給ふ は此帝(このみかど)の勅詔(ちよくぜう)に因(よる)ところとかや。斯(かく)聖智(せいち)の君(きみ)なれば貞観(でうくわん)三年 辛巳(かのとみ)十二才 にて自(みづから)周易(しうえき)を講(かう)じ給ふ。相国(しやうこく)良房公(よしふさこう)を首(はじめ)とし月卿雲客(げつけいうんかく)参列(さんれつ)して拝聴(はいてう) し奉らるゝに。偏(ひとへ)に菅家(かんけ)。江家(かうけ)の博士(はかせ)の講(かう)ずるに異(こと)ならずと感(かん)じ奉らざ る人もなし。其後(そのゝち)も論語(ろんご)。五経(ごきやう)。群書治要(ぐんしよちよう)等(とう)交々(かはる〴〵)講(かう)じ給ひければ。近代(きんだい)の 天子(てんし)みな明君(めいくん)にてわたらせ給へども。いまだ此君(このきみ)のごとく御 幼稚(ようち)より御 才弁(さいべん)とも