Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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ページ: 343

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せ給ひし時(とき)諸卿(しよけう)多分(たぶん)は一の宮(みや)を太子(たいし)に立(たて)給へと奏(そう)しけれども。彼(かの)信(のぶみ)一人は后腹(きさきばら)と外(げ) 戚腹(しやくばら)の理(り)を論(ろん)じて強(しゐ)て今の帝(みかど)を太子(たいし)に立(たて)給へと諫(いさめ)られしゆへ遂(つひ)に四の宮(みや)へ立太子(りうたいし)の宣(せん) 旨(じ)を下され。先帝(せんてい)崩御(ほうぎよ)なし給ひし後(のち)も諸卿(しよけう)詮議(せんぎ)し。四の宮(みや)春宮(とうぐう)にて在(ましま)せども御幼(ごよう) 稚(ち)と申 兄皇子(あにみこ)を超(こえ)て御 即位(そくゐ)なし玉はんは如何(いかゞ)あらんと諷評(ふうひやう)せし折(をり)も信(のぶみ)一人のみ道理(どうり) を演(のべ)て幼君(ようくん)を帝位(ていゐ)に即(つけ)奉(たてまつ)りし程(ほど)の忠臣(ちうしん)。何(なん)ぞ逆意(ぎやくい)を企(くはだつ)つる事か有べき。当時(とうじ) 信(のぶみ)に増(まし)たる正直(せいちよく)の功臣(かうしん)なし。近頃(ちかごろ)麤忽(そこつ)【麁は俗字】の申され事(ごと)右大臣(うだいじん)には似合(にあは)ざる義(ぎ)なり。極(きはめ)て 讒者(ざんしや)の虚言(きよごん)なるべし。克々(よく〳〵)理非(りひ)を糺(たゞ)さるべしと申されよと有(あり)けるゆへ。基経(もとつね)左(さ)も有べしと 承服(しやうふく)し。立(たち)かへりて良相(よしすけ)善雄(よしを)に相国(しやうごく)の申されし趣(おもむ)きを言聞(いひきか)せければ。良相(よしすけ)は理(り)に伏(ふく)して 赤面(せきめん)し。善雄(よしを)は何(なに)となく底気味(そこきみ)あしく。よき程(ほど)に言紛(いひまぎら)して立帰(たちかへ)りけり。其後(そのゝち)も朝廷(てうてい)より 放火(はうくわ)の犯人(ぼんにん)を探(さぐ)り尋(たづね)らるゝ事 緊(きび)しかりけれども。猶(なを)曽(かつ)て知(しれ)ざりけるに。月日(つきひ)遙(はる)に推移(おしうつ)りて 同年(どうねん)八月三日 右大臣(うだいじん)良相(よしすけ)の館(やかた)へ夜中(やちう)に怪(あや)しの下郎(げらう)一人 入来(いりきた)り。執達(とりつぎ)の役人(やくにん)に就(つい)て申