Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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競(くらべ)をさせ其者(そのもの)に蹶速(けばや)負(まけ)なばそれを名(な)として渠(かれ)を追退(おひしりぞ)けよとなり。諸(しよ)臣下(しんか)奉(うけたま)はり 諸国(しよこく)へ触(ふれ)わたし普(あまね)く力者(りきしや)をぞ召募(めしつの)られける。然(しかれ)ども皆(みな)蹶速が怪力(くわいりよく)に聞怖(きゝおぢ)して。我(われ)召(めし) に応(おう)ぜんといふ者(もの)なき処(ところ)に。彼(かの)野見宿祢(のみのすくね)朝廷(てうてい)の御 触渡(ふれわたし)を承(うけたま)はりて思(おもへ)らく。そも当(たへ) 麻蹶速(まのけばや)何者(なにもの)なればさほど朝廷(てうてい)の君臣(くんしん)を煩(わづら)はし奉るや。我(われ)君(きみ)の為(ため)彼(かの)蹶速(けばや)と力競(ちからくらべ) し。渠奴(きやつ)を投殺(なげころ)して帝(みかど)の宸襟(しんきん)を安(やす)んじ奉り度(たく)はあれど。如何(いかに)せん今 我母(わがはゝ)患病(いたつき)有(あつ) て病臥(やみふし)給へば。是(これ)を見捨(みすて)て召(めし)に応(おう)ぜんも不孝(ふかう)なりと思(おもひ)煩(わづら)ひけるに。忽(たちま)ち朋友(ほうゆう)の小(こ) 勝間太鳧(かつまたける)来(きた)りて宿祢(すくね)に向(むか)ひ。今度(こんど)都(みやこ)より諸国(しよこく)の力者(りきしや)を召(めさ)れ。当麻(たへまの)蹶速に勝事(かつこと) を得(え)ば召抱(めしかゝへ)て食禄(しよくろく)を賜(たまは)らんとの御 触(ふれ)なり。我們(われら)斯(かく)片鄙(かたいなか)の国(くに)に住(すみ)て徒(いたづら)に草木(さうもく) と倶(とも)に朽果(くちはて)んよりは。召(めし)に応(おう)じて都へ上(のぼ)り。彼(かの)蹶速(けはや)と力競(ちからくらべ)せばやとおもふは如何(いかに)といひ ければ。宿祢(すくね)聞(きい)て。我(われ)も疾(とく)より其(その)心(こゝろ)なれども。我母(わがはゝ)病(やまひ)に染(そみ)給へば意(い)に任(まか)せず。足下(そこ)には 両親(りようしん)もなき身(み)なれば疾(とく)召(めし)に応(おう)じ。蹶速(けはや)と力を競候へ。運(うん)よく渠(かれ)に勝(かち)なば身(み)の青(しゆつ)