Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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ページ: 357

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雲(せ)といひ第(だい)一は帝(みかと)の宸襟(しんきん)を安(やす)んじ奉る忠勤(ちうきん)なり。急(いそ)ぎ思(おも)ひ立(たゝ)れよと勧(すゝめ)ければ。太(た) 鳧(ける)悦(よろこ)び宿祢(すくね)に別(わかれ)を告(つげ)て。出雲(いづも)を発足(ほつそく)して都(みやこ)へ上(のぼ)り。朝廷(てうてい)の宦人(くわんにん)に就(つい)て蹶速(けはや)と競(ちから) 力(くらべ)したきよし願(ねが)ひければ早速(さつそく)宦人(くわんにん)より其旨(そのむね)を奏聞(そうもん)し。勅許(ちよくきよ)有(あり)しにより大内(おほうち)の庭上(ていせう) に相撲(すまふ)の場(には)をかまへ。蹶速 太鳧(たける)両人(りやうにん)を呼出(よびいだ)して競力(ちからくらべ)すべきよしを命(めい)ぜられけるに。蹶 速は聞(きい)て心中(しんちう)に嘲(あざ)わらひ。此奴(こやつ)出雲(いづも)より遙々(はる〴〵)と死(し)を望(のぞん)で上りけるぞ不便(ふびん)なれ。見よ 〳〵一脚(いつきやく)に蹶殺(けころ)し得(え)させんと飽(あく)まで誇(ほこ)り。裸(あかはだか)になり犢鼻褌(とくびこん)の紐(ひも)曳(ひき)しめて角力(すもふ)の 場(には)へ立出(たちいで)ければ。太鳧(たける)も同(おなじ)く裸(はだか)になりて立出(たちいで)ける。堂上(どうしやう)には帝(みかど)出御(しゆつぎよ)在(ましま)し御簾(ぎよれん)を垂(たれ) て勝負(しやうぶ)を睿覧(ゑいらん)なし給ひ。簾外(れんぐわい)には大臣(だいじん)小臣(せうしん)位陛(ゐかい)に依(よつ)て列座(れつざ)し。堂下(どうか)には諸士(しよし)下(した) 宦(づかさ)群(むらが)りて見物(けんぶつ)す。先(まづ)蹶速(けはや)が体(てい)を見るに。身材(みのたけ)七尺五六寸にして色(いろ)飽(あく)まで黒(くろ)く眼(まなこ) 星(ほし)のごとく光(ひか)り鼻(はな)隆準(たかく)鬼鬚(おにひげ)腮(あぎと)のめぐりに茂(しげ)く生(はへ)。手脚(てあし)の毛(け)は熊(くま)のごとく。所々(ところ〴〵)に力瘤(ちからこぶ) むら〳〵と節立(ふしだち)。さながら金剛力士(こんがうりきし)の怒(いか)れるが如(ごと)し。又 小勝間太鳧(こかつまのたける)は身材(みのたけ)六尺四五寸にて