Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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〱(〳〵)て浪速国(なみはやのくに)《割書:今の|摂津》にも著(つき)しかば。当国(とうごく)に跡(あと)を垂(たれ)給ふ住吉明神(すみよしみやうじん)へ参詣(さんけい)し。老母(らうぼ)の 無事(ぶじ)を祈(いの)り。且(かつ)は今度(こんど)都(みやこ)にて蹶速(けはや)との競力(ちからくらべ)に勝事(かつこと)を得(え)さしめ給へと。丹誠(たんせい) を凝(こら)して祈念(きねん)し。それより大和国(やまとのくに)珠城(たまき)の都(みやこ)へ上(のぼ)り宦人(くわんにん)に就(つい)て。是(これ)は出雲国(いづものくに)の住人(ぢうにん) 野見宿祢(のみのすくね)と呼(よば)るゝ者(もの)にて候。当麻蹶速(たへまのけはや)と力(ちから)を競(くらべ)たく遙々(はる〴〵)上(のぼ)り候 間(あいだ)万望(なにとぞ)此旨(このむね)を 奏聞(そうもん)なし玉はるべしと願(ねがひ)ければ。執奏(しつそう)の宦人(くわんにん)承諾(しやうだく)し。右の由(よし)奏聞(そうもん)しけるに。即(すなは)ち 勅許(ちよくきよ)ありけるゆへ。宦人(くわんにん)蹶速(けはや)を召出(めしいだ)し宿祢(すくね)と競力(ちからくらべ)すべきよし言渡(いひわた)しければ蹶(け) 速(はや)一 議(ぎ)にも及(およば)ず領掌(れうぜう)して退(しりぞ)き心中(しんちう)に独(ひとり)笑(ゑみ)し。野見宿祢(のみのすくね)とやらん彼(かの)太鳧(たける)が我(わが) 一 脚(きやく)の下(した)に命(めい)を落(おと)せしを不知(しらざり)けん。我(われ)と力(ちから)を競(くらべ)ん事を望(のぞむ)は。火(ひ)に入 夏(なつ)の虫(むし)にひとしく 好(この)んで其身(そのみ)を亡(ほろぼ)さんとする愚(おろか)さよと。己(おのれ)も思(おも)ひ人にも言(いひ)誇(ほこり)て。其日(そのひ)遅(おそ)しとぞ待(まち) にける。斯(かく)て禁廷(きんてい)には先例(せんれい)のごとく殿前(でんぜん)の大庭(おほには)に競力(ちからくらべ)の場(ば)を構(かま)へ帝(みかど)は高座(たかみくら)に出御(しゆつぎよ) 在(ましま)し百司(ひやくし)百宦(ひやくくわん)は堂上(どうせう)堂下(どうか)に参列(さんれつ)し。事(こと)已(すで)に整(とゝの)ひければ。宦人(くわんにん)蹶速(けはや)宿祢(すくね)両人(りやうにん)を