Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

- 翻刻

 - ページ 368

ページ: 368

翻刻

ながら人を埋(うづ)め殺(ころさ)んは不仁(ふじん)の甚(はなは)だしき義(ぎ)と申べし。卑臣(ひしん)が愚見(ぐけん)に依(よら)ば埴土(はにつち)を以(もつ)て 殉葬(じゆんそう)せらるべき程(ほど)の土偶(ひとがた)を造(つく)りそれを殉葬(じゆんそう)に象(かた)どりて陵(みさゞき)に埋(うづめ)られ。其人(そのひと) 々(〴〵)には御 暇(いとま)を給(たま)はり宮中(きうちう)を出(いだ)し玉はゞ。殉葬(じゆんそう)の式法(しきほふ)も相立(あひたち)数(す)十人の人を埋(うづ)め殺(ころ) さるゝにも及(およば)ず。後代(こうだい)まで勤仕(みやづかへ)する人の大患(うれひ)を除(のぞ)き仁恕(じんじよ)の道(みち)を推弘(おしひろめ)給ふ一 端(たん)と も成(なり)候はんかと言上(ごんじやう)しければ諸卿(しよけう)実(げに)もと心付(こゝろづき)帝(みかど)へ斯(かく)と執奏(しつそう)せられけるに。帝(みかど)聞召(きこしめし) て御感(ぎよかん)斜(なゝめ)ならず。実(げに)いしくも申せしかな。如此(かくのごとく)んば朕(ちん)また何(なに)をか患(うれ)ふべき急(いそ)ぎ宿祢(すくね)に 命(めい)じて殉葬(じゆんそう)すべき男女(なんによ)の形(かたち)及(およ)び牛馬(ぎうば)を。土(つち)を以(もつ)て造(ちく)らせよと勅詔(みことのり)なし給ふ。執奏(とりつぎ)の公(く) 卿(げう)王命(わうめい)を奉(うけたま)はり宿祢(すくね)へ宣旨(せんじ)を申 聞(きか)されけるにぞ。宿祢(すくね)領掌(れうぜう)し。宿所(しゆくしよ)へ帰(かへ)り出雲(いづも)へ 飛馬(はやむま)を立(たて)て土師(はにし)三百人を呼上(よびのぼ)し。自己(みづから)指揮(さしづ)して多(おほく)の人形(ひとがた)牛馬(うしむま)諸(もろ〳〵)の調度(てうど)まで 不日(ふじつ)に造立(つくりたて)。それを朝廷(てうてい)へ献(たてまつ)りければ。帝(みかど)睿覧(ゑいらん)在(ましま)して御 欣(よろこ)び浅(あさ)からず。此物(このもの)を 葬(ほうむ)りに殉(したが)はせ埋(うづ)むときは先格(せんかく)を失(うしな)はず又 生(いけ)る者(もの)を埋殺(うめころす)に及(およば)ず一 挙両得(きよりようとく)のはか