Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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人々(ひと〴〵)はいまだ名(な)を知(しら)れまじ今度(こんど)京軍(きやうぐん)下向(げかふ)あるにつき。伊治呰麻呂(いちのしまろ)に頼(たの)まれ金窪(かなくぼ)と 某(それがし)此(この)白河(しらかは)の柵(さく)を預(あづか)つて固(かた)め候なり。某(それがし)們(ら)が命(いのち)有(あら)ん限(かぎ)りは。たとへ何(なん)十万 騎(ぎ)の御勢(おんせい) なりとも得(え)こそ通(とふ)し候はじ。手並(てなみ)の程(ほど)を御覧(ごらん)に入んため。奥州(おうしう)鍛治(かぢ)が鍛(きた)ひたる鏑(かぶらや)一(ひと) 筋(すじ)進(まいら)せ候べし。我(われ)と思(おも)はん人は出(いで)て受(うけ)て見給へとぞ呼(よば)はりける。京軍(きやうぐん)是(これ)を聞(きい)て悪(にく) き敵(てき)の広言(かうげん)かなと思(おも)へども。前(さき)の金窪(かなくぼ)が勇鋭(ゆうゑい)に聞怖(きゝおぢ)して我(われ)立向(たちむかは)んといふ者(もの)なく少(し) 時(ばらく)鳴(なり)を鎮(しづめ)て在(あり)けるところに。稲城早手(いなぎのさで)といふ者 極(きはめ)て矢取疾(やとりばや)の達人(たつじん)なれば。諸人(しよにん)を 押分(おしわけ)て陣頭(ぢんとう)へ馬(むま)を乗出(のりいだ)し高声(かうしやう)に。嗚呼(おこ)がましき大言(たいげん)かな。你們(なんじら)ごとき島夷(しまゑびす)の猟矢(さつや)は鳩(はと) 雀(すゞめ)の類(たぐひ)にこそは立(たて)真(まこと)の武士(ぶし)の身(み)には立(たゝ)じ矢種(やだね)の有(あら)ん限(かぎ)り射(い)よ我(われ)悉(こと〴〵)く手(て)に採(とり)て見 すべしと言返(いひかへ)しければ悪(あく)太郎大いに怒(いか)り重(かさね)て問答(もんどふ)にも及(およは)ず。七人 張(はり)の強弓(つよゆみ)に笛竹(ふえたけ)の ごとき尖矢(とがりや)打番(うちつがへ)て。忘(わする)るばかり曳絞(ひきしぼつ)て兵(ひやう)ど切(きつ)て放(はな)し直(すぐ)に二の矢(や)をはげて切(きつ)て放(はな)しける 其(その)矢次早(やつぎばや)なる事 更(さら)に見留(みとめ)る間(ひま)もなかりけり。稲城(いなぎ)は絃音(つるおと)を聞(きい)て飛(とびく)る矢(や)を早(はや)く右手(めて)