← 前のページ
ページ 370 / 521
次のページ →
翻刻
朝廷(てうてい)の御 葬式(そうしき)の事をぞ掌(つかさど)りける
評(ひやう)に曰。孔子(かうし)曰(のたまは)く傭(よう)を作(つく)る者(もの)は夫(それ)後(のち)亡(なから)んかと是(これ)其(その)人に類(るい)する者(もの)を作(つく)るを以(もつ)て
なり。然(しかれ)ども宿祢(すくね)の如(ごとき)は是(これ)と日(ひ)を同(おなじ)うして論(ろん)ずべからず。埴物(はにもの)を造(つく)りて殉葬(じゆんそう)に
換(かへ)幾干(いくばく)の生霊(せいれい)を助(たすく)る事 莫大(ばくたい)の仁徳(じんとく)なり。先哲(せんてつ)も是(これ)を仁者(じんしや)の勇(ゆう)と謂(いゝつ)
べしと誉(ほめ)置(おか)れたり。宜(むべ)なるかな其(その)裔孫(えいそん)代々(よゝ)朝廷(てうてい)の臣下(しんか)に列(れつ)し今 猶(なを)連綿(れんめん)と
昌(さかへ)給ふ事 是(これ)天(てん)の報応(ほうおう)と可謂(いふべき)已而(のみ)と云々
春彦(はるひこ)是善(これよし)倶(ともに)《振り仮名:感_二奇夢_一|きむをかんず》 《振り仮名:於_二良香宅_一菅公試_レ射|よしかのたくにかんこうしやをこゝろむ》条
土師臣(はじのおみ)より十四 世(せ)の末孫(ばつそん)を従(じふ)五 位下(ゐのげ)遠江介(とふ〳〵みのすけ)土師古人(はじのふるんど)と謂(いへ)り。然(しかる)に古人(ふるんど)つら〳〵
思(おも)はれけるは。先祖(せんぞ)たる野見宿祢(のみのすくね)埴土(はにつち)を以(もつ)て土偶(ひとがた)を造(つく)り殉葬(じゆんそう)の生霊(せいれい)を助(たすけ)しを以(もつ)
て土師(はじ)の姓(せい)を賜(たまは)り我世(わがよ)に至(いたる)といへども。今の世(よ)土師(はじ)は葬送(そう〳〵)に預(あづか)る者(もの)の名(な)にて心に快(こゝろよ)から
ず。不如(しかじ)居住(きよぢう)の地名(ちめい)を姓(せい)にせんにはとて。一 通(つう)の告状(かうじやう)を造(つく)り。時(とき)の帝(みかど)光仁天皇(くわうにんてんわう)に捧(さゝげ)