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将(まさに)来(きたらんとする)暖気(だんき)《振り仮名:宿_二誰家_一|たがいへにしゆくす》 《振り仮名:氷対_二水面_一聞無_レ浪|こほりすいめんにたいしてきくになみなく》 《振り仮名:雪点_二林頭_一見有_レ花|ゆきりんとうにてんじてみるにはなあり》
《振り仮名:可_レ恨未_レ知_レ勤_二学業_一|うらむべしいまだがくぎやうをつとむるをしらず》 《振り仮名:書斎窓下過_二年華_一|しよさいそうかねんくわのすぐることを》
と作(つく)り給ひければ都良香(とりようけう)大いに駭(おどろ)き且(かつ)感(かん)ぜられ。菅秀才(かんしうさい)の才機(さいき)我(われ)に勝(まさ)る事 遠(とふ)
し。我(われ)是(これ)が師(し)たる事 愧(はづ)るに絶(たへ)たりと。自己(みづから)慚愧(ざんぎ)し是善卿(ぜゝんけう)の館(やかた)【舘は俗字】へいたり対面(たいめん)ありて
賢息(けんそく)菅秀才(かんしうさい)の御事。智才(ちさい)当世(とうせい)其(その)右(みぎ)に立者(たつもの)なし。良香(よしか)ごとき者(もの)の門下(もんか)に膝(ひざ)を
屈(くつ)すべき人にあらず。願(ねがは)くは余人(よじん)に就(つい)て学(まなば)しめ給へと辞退(じたい)せられけれども。是善卿(ぜゝんけう)敢(あへ)て
承引(しやういん)なく何条(なんでう)さる事の候べき。唯(たゞ)いつ迄(まで)も門弟(もんてい)となして教導(をしへみちび)きたび給へと強(しい)て頼(たの)まれ
けるゆへ。良香(よしか)も已事(やむこと)を得(え)ず此上(このうへ)は師弟(してい)の名(な)を除(のぞ)き学友(がくいう)と成(なり)てともに文道(ぶんどう)を修(しゆ)
行(ぎやう)し候べしとて帰(かへ)られ。其後(そのゝち)は心中(しんちう)に菅秀才(かんしうさい)を学(まなび)の友(とも)とおもひ愈(いよ〳〵)懇(ねんごろ)に交(まじは)られけると
なん。偖(さて)清和天皇(せいわてんわう)貞観(でうぐわん)元年 菅秀才(かんしうさい)十五才になりて元服(げんぶく)し給ひ。諱(いみな)を道真(みちざね)と呼(よば)
れ玉ふ。是善卿(ぜゝんけう)の御 怡(よろこび)は申に及(およば)ず北堂(きたのかた)伴氏(ばんし)も斜(なゝめ)ならず嬉(うれし)み給ひ鶴亀(つるかめ)の千世(ちよ)万世(よろづよ)を