Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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かけて菅公(かんこう)の初冠(うゐかむり)を祝(しゆく)し一 首(しゆ)の哥(うた)を詠(ゑい)ぜられける其(その)哥(うた)に曰    久(ひさ)かたの月(つき)のかつらもをるばかり家(いへ)のかぜをも吹(ふか)せてしかな 其後(そのゝち)同四年十八才にて進士(しんし)に及第(きうだい)し文章生(もんじやうせい)に補(ほ)せられ。同六年二十才にて従(じふ)六 位下(ゐのげ)に 叙(じよ)し。同九年二十三才にて文章得業生(もんじやうとくげうせい)に補(ほ)せられ玄番助(げんばのすけ)に進(すゝ)み。同十二年二十五才にて 正(しやう)六 位上(ゐのぜう)に昇進(せうしん)し。同十三年 少内記(せうないき)に任(にん)ぜられ給ふ。御 年(とし)二十六才なり。其年(そのとし)の春(はる)の。比(ころ)都良(とりよう) 香(けう)の館(やかた)【舘は俗字】にて若(わか)き殿上人(てんじやうびと)們(ら)聚(あつま)り弓(ゆみ)を射(い)て興(けう)じ合(あひ)けるところへ菅公(かんこう)至(いた)り給ひしかば人々(ひと〴〵)耳(さゝ) 語(やき)あひ。道真(みちざね)は儒家(じゆか)に生立(おひたち)常(つね)に扉(とぼそ)を閉(とぢ)閫(しきみ)を出(いで)ず。学(まなび)の窓(まど)に蛍雪(けいせつ)を集(あつめ)。もつぱら学(がく) 業(げう)に心を委(ゆだね)らるれば。弓矢(ゆみや)などは手(て)にとりたる事も有(ある)まじく本末(もとすへ)をだも知(しら)れざるべし毎度(まいど) 手跡(しゆせき)詩文(しぶん)などにて我徒(わがともがら)彼人(かのひと)に後(おくれ)を取(とり)し返報(へんぱう)に弓(ゆみ)一手(ひとて)所望(しよもう)して恥辱(ちじよく)【耻は俗字】をとらせばやと 談合(だんかう)しあひ。菅公(かんこう)の来(きた)り給ふを待受(まちうけ)口々(くち〴〵)に。春日(はるひ)の閑(のどか)なるまゝ弓(ゆみ)彎(ひき)て戯(たはむ)れ候なり。公(こう) も慰(なぐさめ)に一手(ひとて)彎(ひき)給へとて弓箭(ゆみや)をさし付(つけ)ければ。菅公(かんこう)早(はや)く其(その)詰(なじ)る意(い)を察(さつ)し。少(すこ)しも辞(じ)