Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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ページ: 388

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人も無(なか)りければ。左大臣(さだいじん)融公(とほるこう)堪(こらへ)かねて進出(すゝみいで)。摂政(せつしやう)の詞(ことば)ながら。時康親王(ときやすしんわう)を帝位(ていゐ)に即(つけ) られんは余(あま)りに似気(にげ)なき事ならんか。再応(さいおう)思慮(しりよ)を加(くはへ)らるべしと難(なん)ぜられける。是(これ)を聞(きい) て諸卿(しよけう)双方(そうはう)の皃(かほ)をながめ。片唾(かたづ)を呑(のん)でひかへ居(ゐ)るところに。末座(ばつざ)より藤原諸葛(ふぢはらのもろかつ) とて勇悍(ゆうかん)強勢(がうせい)の人 位陛(ゐかい)を進(すゝ)み出(いで)。衛府(ゑふ)の太刀(たち)の柄(つか)を砕(くだく)るばかりに握詰(にぎりつめ)満座(まんざ) を盵(きつ)と見廻(みまは)し。誰(たれ)か太政大臣(だじやうだいじん)の命(あふせ)を背(そむ)く人やあると呼(よば)はりて。眼(まなこ)を瞋(いから)し二 言(ごん)と言(いは)ば斬(きり) もかくべき勢(いきほ)ひを示(しめ)しけるにぞ。融公(とほるこう)も諸葛(もろかつ)が強勢(がうせい)に怕(おそ)れ。其後(そのゝち)は詞(ことば)を発(はつ)せられず 口を憩(つぐ)んでひかへられけり。是(これ)に依(よつ)て遂(つひ)に時康親王(ときやすしんわう)を帝位(ていゐ)に定(さだ)むる議(ぎ)に評定(ひやうでう)一 決(けつ)し 列位(おの〳〵)其日(そのひ)は退出(たいしゆつ)せられけり。抑(そも〳〵)基経公(もとつねこう)数多(あまた)在(ましま)す宮々(みや〳〵)の中(うち)に。年(とし)闌(たけ)給ひし時康親(ときやすしん) 王(わう)を吹挙(すいきよ)し帝位(ていゐ)に定(さだ)められしは。深(ふか)き故(ゆへ)ありて全(まつた)く和哥(わか)の徳(とく)に因(よる)ところなり。其(そ)を奈(い) 何(かん)といふに。去年(きよねん)正月 時康親王(ときやすしんわう)野外(やぐわい)に出(いで)て自身(みづから)野辺(のべ)の若菜(わかな)を摘(つみ)給ひ。摂政(せつしやうの)基経公(もとつねこう) の許(もと)へ贈(おく)り給ひけるに。折(をり)ふし余寒(よかん)強(つよ)く若菜(わかな)の葉(は)に雪氷(ゆきこほり)つきたれば一 首(しゆ)の哥(うた)を添(そへ)給ふ