Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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ページ: 395

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急(いそ)ぎ追返(おつかへ)し。彼(かれ)が宦爵(くわんしやく)を削(けづり)て摂州(せつしう)須磨(すま)へ流罪(るざい)に行(おこな)ふべしと宣旨(せんじ)下(くだ)りければ即(すなは)ち 勅詔(みことのり)を申 聞(きか)せ。途中(とちう)より行平(ゆきひら)を追返(おつかへ)して蟄居(ちつきよ)させ。主上(しゆぜう)還御(くわんぎよ)まし〳〵て後(のち)。摂州国(つのくに)須(す) 磨(ま)の浦(うら)へぞ左遷(させん)【迁は俗字】せられける。行平(ゆきひら)は思(おもひ)がけなき罪(つみ)を得(え)て。近流(きんる)ながら謫行(たくかう)の身(み)となり 力(ちから)なく住馴(すみなれ)し宿所(しゆくしよ)を出(いで)て津(つ)の国(くに)須磨(すま)へ流(なが)され。配所(はいしよ)のならひいと矮(わび)しき仮屋(かりや)に入 て見るに。前(まへ)は海(うみ)後(うしろ)は山にて只(たゞ)往反(ゆきかふ)者(もの)とては漁(すなどり)する漁人(りやうし)汐汲(しほくむ)蜑小女(あまおとめ)のみにて。礒(いそ)の松(まつ) 吹(ふく)風(かぜ)の音(おと)も寂(さび)しく。友(とも)呼(よび)かはす千鳥(ちどり)の声(こゑ)も哀(あはれ)にて。小夜(さよ)の枕(まくら)も寐覚(ねざめ)がちに。見る物(もの)聞者(きくもの) 腹(はら)を断(たゝ)ざるはなければ。一 首(しゆ)を詠(えい)じて都(みやこ)の友人(ゆうじん)へぞ贈(おく)られける其哥(そのうた)に曰   わくらはに問(とふ)ひとあらば須磨(すま)のうらに藻汐(もしほ)たれつゝわぶとこたへよ 斯(かく)て憂(うき)配所(はいしよ)に明(あか)し暮(くら)されけるに。一日(あるひ)の朝(あさ)後(うしろ)の山より鄙(ひな)びたる声々(こゑ〴〵)に何(なに)か諷(うたひ)つれて。数(す) 十人の海士小女(あまおとめ)浜辺(はまべ)を望(のぞん)で来(きた)る有(あり)さま。将(まさ)に一 行(かう)の斜鴈(しやがん)雲(くも)に連(つらな)り。半天(はんてん)の雲霓(うんげい)地(ち) に移(うつ)るともいふべく。行平(ゆきひら)渠們(かれら)を見らるゝに。其(その)群(むれ)の中に容貌(みめかたち)鄙(ひな)めかず由(よし)ありげなる