Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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ページ: 396

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二人の小女(をとめ)余(よ)の蜑(あま)們(ら)よりは後(おく)れて歩(あゆ)み疲(つか)れし体(てい)に見えければ。行平(ゆきひら)家士(いへのこ)生田庄司(いくたせうじ)に 向(むか)ひ彼(あの)後(おくれ)たる二人の蜑小女(あまをとめ)を是(これ)へ呼(よび)来(きた)れよと命(めい)ぜられけるにより。庄司(せうじ)領掌(れうぜう)して走(はし)り 出(いで)二人の小女(をとめ)を将(ゐ)てかへり。主君(しゆくん)の目前(めどふり)へ連出(つれいで)て坐(すは)らせける。二人の女はいと畏(おそれ)入(いつ)たる体(てい)に て蹲(うづくま)り居(ゐ)たり。行平(ゆきひら)詞(ことば)をかけ。你(なんじ)們(ら)は何国(いづく)の者にて何方(いづれ)の里(さと)に住(すみ)けるぞと問(とは)れけれ ば一人の年長(としてう)じたりと覚(おほ)しき女。庄司(せうじ)に料紙(れうし)を乞(こひ)一 首(しゆ)の哥(うた)を手早(てばや)く書(かき)て。つゝまし げにさし出(いだ)しけるゆへ。行平(ゆきひら)興(けう)ある事に思(おも)はれ手(て)に取上(とりあげ)て見らるゝに其哥(そのうた)に曰   しら浪(なみ)のよする渚(なぎさ)に世(よ)をすごす蜑(あま)の子(こ)なれば宿(やど)もさだめず と書(かき)たり手跡(しゆせき)も無下(むげ)に拙(つたな)からざれば大いに感(かん)ぜられ。偖々(さて〳〵)優(やさ)しき者どもかな。実(まこと)の 住所(ぢうしよ)を告(まうせ)よと再三(さいさん)問(とは)れけるに。哥(うた)書(かき)たる女 答(いらへ)けるやう。我々(われ〳〵)姉妹(おとゞい)はもと讃岐国(さぬきのくに)の者 にてさむらひしに。縁故(ゆへよし)ありて今は此(この)後(うしろ)の山の奥(おく)なる。田井畑(たゐのはた)の長(てう)が許(もと)に召使(めしつか)はれ侍(はべ) りと申ける。行平(ゆきひら)聞(きい)て庄司(せうじ)に向(むか)ひ你(なんじ)彼(かの)田井畑(たゐのはた)とやらんへ往(ゆき)其(その)長(てう)とかいふ者に対面(たいめん)