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給へとなり。是(これ)片時(へんし)も君(きみ)の守護(しゆご)を怠(おこた)り玉はぬ忠勤(ちうきん)の意(い)を一 首(しゆ)の中(うち)に籠(こめ)給ひし御
歌(うた)なれば上皇(じやうかう)も深(ふか)く感(かん)じ思召(おぼしめし)いよ〳〵道真公(みちざねこう)を愛(あい)し給ひ主上(しゆじやう)に御 勧(すゝめ)有(あつ)て丞相(しやう〴〵)の位(くらゐ)
に進(すゝ)め給ひしなり。斯(かく)て昌泰(しやうたい)三年正月三日 主上(しゆぜう)朱雀院(しゆじやくいん)へ朝覲(てうきん)の御幸(みゆき)なし給ひ。左(さ)
大臣(だいじん)時平(ときひら)右大臣(うだいじん)道真公(みちざねこう)其余(そのよ)の臣下(しんか)も供奉(ぐぶ)せられける。上皇(じやうかう)御 怡(よろこび)斜(なゝめ)ならず。主上(しゆぜう)と
御 土器(かはらけ)をとりかはさせ給ひ御 酒宴(しゆえん)ありて睦(むつま)じく御 物語(ものがたり)なし給ひける序(ついで)に上皇(じやうかう)宣(のたま)ひける
やう。当時(とうじ)左大臣(さだいじん)時平(ときひら)と右大臣(うだいじん)道真(みちざね)と。相並(あいならん)で朝政(てうせい)を執行(とりおこな)はせ給ふは好(よき)に似(に)たれども
遂(つひ)にはきしらひ逆(さか)ふ事 出来(いでく)べく思(おも)はれ候。時平(ときひら)は子故(こ)基経(もとつね)の子(こ)ながら。年(とし)若(わか)く才(さい)短(みぢか)き上
不良(よからぬ)行(おこな)ひ有(ある)よし其(その)聞(きこ)えあり。道真(みちざね)は年(とし)高(たか)く当時(とうじ)の俊才(しゆんさい)にて天晴(あつぱれ)棟梁(とうれう)の臣(しん)と謂(いひつ)べし
されば時平(ときひら)が執政(しつせい)の職(しよく)を止(やめ)道真(みちざね)に関白(くわんばく)の職(しよく)を授(さづ)け一人にて万機(ばんき)の政(まつりごと)を執行(とりおこな)はせ玉はゞ
天(あめ)が下(した)永(なが)く太平(たいへい)なるべしと仰(あふせ)けるにぞ。主上(しゆぜう)実(げに)もと思召(おぼしめし)菅公(かんこう)一人を御前(ごぜん)へ召出(めしいだ)し給ひ。以後(いご)
は卿(なんじ)一人にて朝政(てうせい)を執行(とりおこな)ひ四海(しかい)の安寧(あんねい)をはかり候へと。両君(りようくん)ひとしく勅詔(みことのり)なし給ひ。関白(くわんばく)の