Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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践(ふむ)といへども独(ひと)り衣(い)を襲(かさね)て身(み)を温(あたゝか)にすべきにあらずとて御簾(ぎよれん)の外へ出(いだ)し 玉ひ一 首(しゆ)の御製(ぎよせい)を詠(えい)じ給へり。其(その)御製(ぎよせい)に曰   おほふべき袖(そで)こそなけれ世(よ)の中(なか)の寒(さむ)けき民(たみ)の冬(ふゆ)の夜(よ)な〳〵 かく難有(ありがたき)仁君(じんくん)なれば末代(まつだい)までも延喜(ゑんぎ)の聖帝(せいてい)とは申せり。然(しかれ)ども帝(みかど)尚(なを)御 年(とし)若(わか) く御座(おはし)ければ定国(さだくに)菅根(すがね)們(ら)の佞臣(ねいしん)君(きみ)に勧(すゝ)め奉りけるやう。古(いにしへ)の賢王(けんわう)は巡狩(じゆんしう)と 号(がう)し春秋(しゆんじふ)に田猟(でんりやう)し民(たみ)の艱苦(かんく)を察(さつ)し行旅(かうりよ)の難易(なんい)を量(はかり)給ふとかや。君(きみ)も万(ばん) 民(みん)を撫育(ぶいく)せんと思食(おぼしめさ)ば。宮中(きうちう)にのみ御座(おはし)まさんより。折々(をり〳〵)は山野(さんや)へ御狩(みかり)の御(み) 幸(ゆき)なし給ひ農民(のうみん)們(ら)が耕耘(たがへしくさぎ)る辛苦(しんく)をも睿覧(ゑいらん)なし給ふべしと言(ことば)を巧(たくみ)にして 奏(そう)しければ。睿知(ゑいち)の帝(みかど)も両人(りようにん)が不正(ふせい)に引入(ひきいれ)奉らんと謀(はか)る侫言(ねいげん)なりとは知食(しろしめさ)ず 実(げに)もと思召(おぼしめし)。定国(さだくに)菅根(すがね)希世(まれよ)以下(いげ)を召具(めしぐ)し給ひて神泉苑(しんせんえん)へ鷹狩(たかがり)の御幸(みゆき) なし給ひ鷹(たか)を放(はな)させ鳥(とり)をとらせて御入興(ごじゆけう)あり。御 酒宴(しゆえん)を催(もやほ)し給ひける所(ところ)に