Gallicaの日本資料を翻刻!

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哺(ほ)を吐(はき)給ひし忠臣(ちうしん)も忽(たちま)ち讒舌(ざんぜつ)の為(ため)に無辜(つみなう)して左遷(させん)【迁は俗字】の客(かく)と成(なり)給ふこそ是非(ぜひ)なけれ 実(げに)や古人(こじん)も叢蘭(そうらん)茂(しげら)んとすれば秋風(しうふう)是(これ)を破(やぶ)り。日月(じつげつ)明(あきらか)ならんとすれば浮雲(ふうん)是(これ)を掩(おほふ) と賦(ふ)し。又 人君(じんくん)治(おさめ)んと事を願(ねがへ)ば侫臣(ねいしん)是(これ)を乱(みだ)すと言(いひ)けんも。今 延喜(えんぎ)の御代(みよ)に思(おも)ひ 合されける。菅公(かんこう)無実(むしつ)の罪(つみ)を得(え)給ひて左遷(させん)【迁は俗字】せられ給ふ事を洛中(らくちう)洛外(らくぐわい)の人民(にんみん)聞伝(きゝつたへ)て 大いに駭(おどろ)き今の世(よ)菅(かん)丞相(しやう〴〵)居(ゐ)玉はずんば。朝廷(てうてい)の政(まつりごと)乱(みだ)れ世(よ)は暗闇(くらやみ)に等(ひとし)しかるべしとて 貴賎(きせん)老若(らうにやく)とも騒(さは)ぎ惑(まど)ひ。左大臣(さだいじん)は止(とゞま)り右大臣は流(なが)され給ふ以(もつ)て右流左止(うるさし)〳〵とぞ言(いひ) 詈(のゝし)りける今の世(よ)まで心に憂(うし)とおもふ事を右流左止(うるさし)といへるは此言(このことば)の遺(のこ)れるなり。誠(まこと)に 末代(まつだい)まで賢王(けんわう)と称(しやう)せられ給ふ延喜(えんぎ)の帝(みかど)も。菅公(かんこう)を左遷(させん)【迁は俗字】し給ひしは御(ご)一 代(だい)の御 過(あやまり)にて在(ましま)しけり。是(こ)は且(しばらく)おき菅公(かんこう)は二月 朔日(ついたち)に住馴(すみなれ)し館(やかた)【舘は俗字】を出(いで)給ひ夢路(ゆめぢ)を剽(たど)る 御 心地(こゝち)にて駕(めし)も馴(なれ)玉はざる張輿(はりごし)に淘(ゆら)れ。都(みやこ)の街(まち)通(とふ)らせ給ふを。老若(らうにやく)男女(なんによ)路(みち)の両(りやう) 辺(へん)に充満(じうまん)して御 余波(なごり)を惜(をし)み涕泣(なきかなし)む声(こゑ)街(ちまた)に充(みて)り。情(なさけ)をしらぬ下吏(したやくにん)們(ら)妨(さまたげ)に成(なる)