Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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ページ: 459

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の心を慰(なぐさ)め侍(はべ)るべしと望(のぞ)み給ふにぞ。菅公(かんこう)有合(ありあふ)木(き)を以(もつ)て御 手(て)づから御 身(み)の像(ぞう)を刻(きざ)み 給ひけるに。いまだ粗造(あらづくり)の内(うち)に早(はや)八声(やこゑ)の雞(とり)の音(ね)聞(きこ)えければ警固(けいご)の武士(ぶし)駭(おどろ)き已(すで)に暁(あかつき)に 及(およ)び雨(あめ)も疾(とく)霽(はれ)候御 名残(なごり)は尽(つき)すまじく候へども。今は御 船(ふね)へ還(かへら)せ給へと言上(まうしあげ)けるゆへ。菅公(かんこう)も為(せん) 方(かた)なく荒木造(あらきづくり)のまゝ尼公(にこう)へ進(まい)らせ給ひ。御 別(わかれ)を告(つげ)玉ひて立出(たちいて)給ふとて   啼(なけ)ばこそわかれを急(いそ)げ雞(とり)の音(ね)の聞(きこ)えぬ里(さと)のあかつきもがな と詠(えい)じ給ひ終(つひ)に道明寺(どうみやうじ)を出(いで)給ひ佐田(さだ)の里(さと)へぞ還(かへ)らせ給ひける。此(この)御 哥(うた)より今 以(もつ)て 河州(かしう)土師村(はじむら)には雞(にはとり)を飼(かは)ずとかや。斯(かく)て佐田(さだ)より又 船(ふね)に乗(のり)給ひ。流(ながれ)に順(したが)ひて摂州(せつしう)渡(わた) 辺(なべ)福島(ふくしま)まで下(くだ)り給ひけるに。西風(にしかぜ)強(つよ)く吹出(ふきいだ)しければ。斯(かく)ては御 船(ふね)を下(くだ)し難(がた)しとて福島(ふくしま)へ 船(ふね)を着(つけ)風(かぜ)の和風(なぐ)を相待(あひまち)ける。其(その)風待(かざまち)の内(うち)に菅公(かんこう)陸(くが)へ上(あが)らせ給ひ。其所(そこ)此処(こゝ)と逍遥(せうよう)し 給ひ融(とふる)の大臣(おとゞ)の都(みやこ)へ潮(うしほ)を運送(うんそう)させられし古邸(ふるやしき)を御 覧(らん)じ其辺(そのほとり)の森蔭(もりかげ)を通(とふ)り玉ひ けるに。松(まつ)の葉(は)の露(つゆ)風(かぜ)に吹(ふか)れて降落(ふりおち)御 狩衣(かりぎぬ)にかゝりければ菅公(かんこう)とりあへず