Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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ページ: 460

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  露(つゆ)と散(ちる)涙(なみだ)に袖(そで)は朽(くち)にけり都(みやこ)のことを思(おも)ひいづれば と詠(えい)じ給へり。後(のち)に此所(このところ)に天満宮(てんまんぐう)を造営(ざうゑい)し露(つゆ)の天神(てんじん)と称(しやう)し奉るも此(この)御 哥(うた)に依(よつ)て号(なづけ) し所(ところ)なり《割書:俗におはつ|天神といへり》又 風待(かざまち)に御 船(ふね)を着(つけ)し福島にも御社(みやしろ)を建(たて)けり《割書:上中下|三社有》去程(さるほど)に両日(ふつか)許(ばかり) 立(たつ)て西風(にしかぜ)止(やみ)ければ纜(ともづな)を解(とい)て御船を出(いだ)しけるに。是(これ)より追風(おひて)吹続(ふきつゞ)きて摂津路(せつつぢ)を過(すぎ)急(いそ) ぐともなきに。御船 明石(あかし)の浦(うら)に着(つき)けり。当所(とうしよ)の駅(えき)の長(てう)は。菅公(かんこう)先年(せんねん)讃岐(さぬき)の任(にん)に下(くだ)り給ひし 節(せつ)長(てう)が許(もと)に宿(やど)らせ給ひ。御懇(ごねんごろ)の御 詞(ことば)を下されけるにより。駅長(ゑきてう)忝(なかたしけ)なく思(おも)ひ。重(おも)く尊敬(そんけう) し種々(しゆ〴〵)管侍(もてな)し奉りしゆへ。今度(このたび)も船(ふね)を下(おり)させ給ひて長(てう)が許(もと)へ入せ給ひけり。駅長(ゑきてう)は菅公(かんこう)の 御 左遷(させん)【迁は俗字】の義(ぎ)を疾(とく)より伝聞(つたへきゝ)。大いに駭(おどろ)き愁(うれ)ひ歎(なげ)きけるに。今 立寄(たちよら)せ給ひしをせめてもの 幸(さいはひ)と深(ふか)く悦(よろこ)び。席(せき)を掃浄(はらひきよめ)て御座(ござ)を設(まうけ)請(しやう)じ入奉り。尊顔(そんがん)を拝(はい)して不覚(ふかく)の涙(なみだ)に くれ。畳(たゝみ)に額(ひたい)を付(つけ)少時(しばし)頭(かしら)を上(あげ)かねけるが。稍(やゝ)有(あつ)て面(おもて)を起(おこ)し。不慮(ゆくりなし)御左遷(ごさせん)【迁は俗字】を御 悔(くやみ)申上 流涕(りうてい)に膝(ひざ)を浸(ひた)しければ。菅公(かんこう)駅長(えきてう)を制(せい)し玉ひ。一 聯(れん)の句詩(くし)を吟(ぎん)じ給ふ其(その)御 詩(し)に曰